特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館

名称:特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
会期:2021年10月14日(木)〜2022年1月12日(水)
  ※会期等は変更になる場合がございます。
会場:国立科学博物館 (東京・上野公園)
主催:国立科学博物館、大英博物館、朝日新聞社
協賛:鹿島建設、DNP大日本印刷、パナソニック、三菱商事
協力:日本航空
監修:国立科学博物館長 篠田謙一
   国立科学博物館 人類研究部 人類史研究グループ長 坂上和弘
   金沢大学 教授 河合望
巡回情報:2022年2月5日(土)~5月8日(日) 神戸市立博物館
住所:〒110-8718東京都台東区上野公園7-20
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
URL:国立科学博物館

歴史の殿堂として知られるイギリスの大英博物館は、古代エジプト文明の研究でも世界を牽引してきました。その研究成果を紹介する本展は、6体のミイラを選りすぐり、CTスキャンを用いた画像解析によって、外側からはうかがい知ることのできないミイラの謎を解き明かし、古代エジプト人の生き様や文化を紹介します。王家の所領を管理する役人、代々続く名家の神官、既婚女性、幼い子ども……展示される6体のミイラは、年齢や性別、社会的立場や暮らしていた時代も様々です。彼らはどのような人生を送ったのちにミイラとして残ったのか―? CTスキャン画像をもとにした高精度の映像や、「食」「健康」「音楽」「家族」などのテーマに沿った展示物を交え、各ミイラの6つの物語を展開します。神々の像やミイラ作りの道具は、古代エジプトの信仰や死生観を垣間見せる一方、女性の装身具や子どものおもちゃなどは、今も昔も変わらない人々の暮らしを伝えています。2019年に日本の調査隊が発見し、現在も調査が続いているサッカラ遺跡のカタコンベ(地下集団墓地)を実寸大の部分模型で再現するなど、日本独自の展示も行います。
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大英博物館メッセージ
特別展「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」は、何年にも及ぶ学術的・科学的研究の集大成です。ミイラは当初、「珍しいもの」として収集され、古代世界の生と死について多くのことを教えてくれる貴重な役割を果たしてきました。古代エジプト人は文字による記録を多数残しましたが、それらが語るのは一部のことでしかありません。
本展の目玉である6体のミイラを、CTスキャンを用いた画像解析技術を駆使して研究した結果、なかなか得ることができない独自の発見がありました。ミイラを通して古代エジプト人の生活や健康状態、病歴を調査し、信仰や葬儀儀式、日常の慣習についても詳細が明らかになりました。古代エジプト人の生活に関するこれまでの常識に挑み、過去に類を見ない迫力で古代世界と当時の人々に迫る新たな探究を紹介します。
大英博物館 館長
ハートウィグ・フィッシャー

大英博物館とは
イギリス・ロンドンにある大英博物館は世界で最も名高く人気のある博物館の一つです。1753年に8万点の収集品から始まったそのコレクションは、250年以上を経た現在、約800万点にも及びます。
エジプト、ギリシャ・ローマ、アジア、ヨーロッパなど8の部門をもち、先史時代から現在に至る文化遺産の殿堂として知られますが、なかでもエジプト部門は同館の「顔」ともいえる重要な位置を占めています。

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館

アメンイリイレトは、カシュタ王(前760~前747年頃)の娘アメンイルディスの所領を管理していた役人で、その地域の名士であった。アメンイルディスの死後1世紀以上後の時代の人物であり、その地位から得た富によって立派に埋葬された。彼のミイラは、厚さ12cmにもなる亜麻布の層で覆われ、豪華なビーズネットが胸部から足首を覆うように置かれていた。極めて良好な保存状態で、古代エジプトにおけるミイラ作りのよい例の一つである。古代エジプト人は、来世で復活するためには肉体が残っている必要があると信じていた。死者の肉体はミイラとなることで、神に近い属性をもつ神聖なものとして作り変えられたのである。

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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テーベ(現ルクソール)で最も重要な宗教施設であったカルナク神殿の神官で、彼の職務は神像が安置された祠堂の扉を開け、聖油を捧げることであったと考えられる。ネスペルエンネブウのミイラには、数多くの護符や装身具が包帯の中に安置されていた。これらは死者を保護し、不死の力を得る手助けとなる呪術的な力をもつと考えられていた。古代エジプトでは八百万の神々が信じられており、神々は様々な姿で表現された。ネスペルエンネブウのミイラの棺にも、ハヤブサとタマオシコガネ(フンコロガシの一種)で表された太陽神(ケプリ神)やオシリス神といった、死者に新たな生命を与える力をもつ主要な神々を象徴する文様が色鮮やかに描かれている。

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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下エジプト(北部エジプト)に暮らしていたとされるペンアメンネブネスウトタウイは、バステト神などを祀った神殿に仕える神官だった。彼のミイラには、ミイラ作りにおいて通常取り除かれることの多い脳が残されており、ミイラ作りの手法は時期や地域によって変化した可能性があると考えられる。木棺やミイラからは、彼の遺体がテーベでミイラ化されたことが示唆され、遠く離れた南部の地で他界したようである。また、本展で展示される4体全ての成人のミイラには、「現代病」と言われるアテローム性動脈硬化症の症状が見られ、この病気が古代エジプトの時代から存在していたことがわかる。古代エジプトにおける病気の治療は、専門家である「スウヌウ」(医者)による薬を使った療法に呪術的な儀式、呪文が組み合わせられた。薬のなかには、蜂蜜や銅といった抗菌作用をもつものも含まれていた。

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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タケネメトは前700年頃に生きた既婚の女性で、そのミイラは3層に入れ子状になった棺の中に納められていた。棺にはタケネメトが、オシリス神などの神々の前でシストルムという楽器を奏でる姿が描かれている。彼女の死亡時の年齢は35~49歳と推定されるが、内棺には若い女性として描かれている。タケネメトのミイラは、幾層もの布で丁寧に包まれ、数千ものビーズで作られたビーズネットが置かれていた。CTスキャンの結果から、髪は頭頂部で束ねられてミイラにされていたことが明らかになった。

「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
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「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」国立科学博物館
若い男性のミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像 プトレマイオス朝時代後期~ローマ支配時代初期、前100~後100年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
若い男性のミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像 プトレマイオス朝時代後期~ローマ支配時代初期、前100~後100年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
ジェドバステトイウエフアンクのカノポス壺 前380~前343年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
ジェドバステトイウエフアンクのカノポス壺 前380~前343年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
ホルス神に授乳するイシス女神像 前664~前332年、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
ホルス神に授乳するイシス女神像 前664~前332年、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
猫のミイラ 国立科学博物館蔵
猫のミイラ 国立科学博物館蔵
子どものミイラと、CTスキャン画像から作成した3次元構築画像 ローマ支配時代、後40~後55年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
黄金のカルトナージュのミイラマスク 前100~後100年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
黄金のカルトナージュのミイラマスク 前100~後100年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
襟飾り 前2040~前1985年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
襟飾り 前2040~前1985年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
猫の青銅製像 前664~前332年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum
猫の青銅製像 前664~前332年頃、大英博物館蔵、 © The Trustees of the British Museum

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