中国五千年の魅力

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中国五千年の魅力(美術品鑑定) 2008.11.17更新

オンライン講座概要 講師:繭山龍泉堂  高橋三朗

出所:骨董の知識百科

前書き: 最近の考古学では、いちばん古い中国の文化として紀元前五千年くらいの土器の出土例をあげている。

1.速いロマンの香りが身近に

最近の考古学では、いちばん古い中国の文化として紀元前五千年くらいの土器の出土例をあげている。そこまでさかのぼらなくても、たとえば七世紀から九世紀ごろの唐時代には、”シルクロード”を通じて隊商が遠くローマに絹を運び、帰りにロ―マやペルシャから珍しい文物を中国に持って帰ってきた。このように、中国の文化は西方の文化の影響を受けていっそう華やかになり、やがて、その流れはわが国の高松塚古墳や正倉院にみられるような、香り高い飛鳥天平の文化を生みだすことになった。
つまり唐時代だけでも、驚くほど膨大な歴史的事実が浮かびあがってくるのである。そして、時代も場所もはるか遠い唐時代のまごうことなき三彩の壷や盤やらを、われわれはなんと現在手にすることができるのである。そこに中国古陶磁の大きな魅力があると思う。
中国には、「政は陶に聞け」という言葉があるように、国や民族の栄枯盛衰がやきものに反映されている。中国の古陶磁をつうじて想いは無限に広がっていく。たとえば、『ラストエンペラー』の舞台となった紫禁城で使われていたであろう明時代や清時代の壷や皿を実際に買い求めることができる。しかも、なかには億もするような高価なものもあるけれども、二十万、五十万くらいからでも手に入れることができる。中国古陶磁が世界第一級の工芸品として人々に広く愛玩されているのもむべなるかなである。

2.見る、触れる、感じることが大切

昔からいわれていることに、「いつもよい品を見よ」という言葉がある。これは至言で、それぞれの時代の雰囲気や窯の特徴を知るには、よい品を数多く見ることに尽きる。つまり知識は大切だが、感性を養うことのほうが先である。現実には中国古陶磁の世界はあまりにも多岐にわたっているので、生半可な知識では整理しきれない。むしろ、よい品を数多く見て、体得することが大切なのである。
私の店では、若い人たちに後かたづけなどを任せて、できるだけ品物に触れる機会を多くしている。何度も触れているうちに、宋時代のものならこんな感じ、明時代のものならこんな手触りというふうに、質感、量感、色彩感をからだ全体で覚えていく。ある程度経験を積んでくれば、手に持っただけで、唐三彩といわれているけれど、少し違うようだというようなことを直感できるようになる。 
なお、よい品とは必ずしも高価な品とは限らず、正しい時代の正しい美しさをもった品という意味である。
たとえば、スウエーデンの国王、グスタフ六世のコレクションは高価な品ばかりではなく、質がよくてそれぞれ見どころがあり、国王の高い見識と感覚のよさを感じさせる素晴らしいコレクションである。
価格ではなく好きかどうかで判断を真贋の問題は非常にむずかしいものである。特に名品と偽物は紙一重ということもあり、ときに,は専門の商人も失敗することがある。したがって、古美術品を購入するときには、本当に目の利く、信用できる商人を選ぶことが大切であろう。真贋と値段は商人にまかせるべきであり、品物を見たとき、それがその手の品物のなかでどの程度のグレードのものか、またそのどこが優れているのかを見分けるよう心がけるのがよいのである。
中国古陶磁に限らず、美術品を買うときの心得について触れておきたい。
1 お金を儲けようと思わないこと。結果として利益を得ることはあるだろうが、大切なことは、本当にその品を美しいと感じ、ほしいと思うかどうかということである。有名だから、安いから、伝来がよいから、人に薦められたからなどというのは買う条件ではなく、自分がその品物を好きか嫌いかがいちばん大切なのである。
2 信用ある商人から買うこと。決して素人どうしの売買はしてはいけない。商人は瑕を教えてくれるし、真贋を保証してくれる。また、買い戻してもくれる。素人どうしの売買でトラブルの起こる例が多い。
3 商人が買い戻すとしても、 一度買ったものは簡単に売ってはいけない。売って利益が出るとその味が忘れられず、また売りたくなるものである。すると、やがて品物を見る目が美しさを
見極める目でなく、値段を考える目になり、美術品を純粋に鑑賞する能力が永久に失われてしまう。それは商人のすることで、お客様のすることではない。売買の頻繁なお客様には、商人は本当によい品や、割安の品を見せなくなるものである。
4 お客様はあまり値切らないほうがよい。値切ればそのときは安くしてくれるかもしれないが、それは程度問題である。むしろ支払いをきれいにすることが大事で、商人はそのようなお客様を尊敬し、大切にする。そうすれば、結果的に、よい品を割安で手に入れることができるようになるのである。
さて、美術品を買うということは、経済的にも精神的にもゆとりがなければできない最高の贅沢である。心ある商人は自分の扱う商品に誇りをもっているものであり、それに応えてくれるお客様と出会うことは喜ばしいことである。
また商人にとって、立派な人柄のお客様に接し、いろいろとお話をうかがって、人生のさまざまな教訓を得ることができることは、本当に幸せなことだと思う。

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