チベット仏教美術

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チベット仏教美術 2007.06.20更新

オンライン講座概要 講師:金丸良子 麗澤大学外国語学部教授
参考用語 チベット仏教美術
前 書 き: 待望の「青海チベット鉄道」が2006年7月にラサまで開通し、これまで秘境として取り扱われることが多かった「チベット文化」が多少身近に感じられるようになった。数年前から「雲南のチベット系民族」の調査をはじめた者としては、当然のことながら、ぜひとも「茶馬古道」の先のチベット・インドを視野に入れておくべきだと思うようになる。 そこで、思い切って2005年末にはインドのコルカタ、ダージリン、ガントクを、2006年末には成都から飛行機でツェダン、ギャンツェ、シガツェ、ラサを巡る観光旅行に加わり、いわゆるチベットに足を踏み入れることになった。インドではヒマラヤ山系の雪山と、チベットではヤムドク湖の碧さと風の冷たさと、心臓への圧迫感が忘れられない想い出として記憶に残った。 
また記憶の新鮮なうちに、彼の地で収集したチベットグッズを整理し、多少の解説をつけておくことが急務となった。急ごしらえで、多少の間違えもあるかと思うが、一応の解説らしきものを試みたのが、下記に記したものである。

チベット仏教美術

 チベット仏教の吉祥文様

吉祥文様

仏教が漢代に中国に伝わって以来、仏教の宝物はみな吉祥の物と見なされるが、とくに法螺・法輪・宝傘・白い蓋・蓮華・宝瓶・金魚・吉祥紐(盤長)8種は「八宝」「八吉祥」と呼ばれる。 チベット語では、「タシ・タギェ」と称され、寺院の入り口の垂れ幕に、民家のドアや窓のカーテンにこの吉祥文様が使用されている

 十相自在図

十相自在図

チベット仏教の密教系の時輪金剛宗では、その最高教義を7つの梵字と3つの図案を組み合わせて、壇城合一し、「十相自在図」に表示した。
7つの梵字の読音は、「亜」「熱」「瓦」「拉」「瑪」「恰」「哈」で、前4文字は無量宮の「風」「火」「水」「土」の四輪を代表している。
3つの図案は、「新月」「圓点」「竪筆画」である。
壇城は、「東」「南」「西」「北」「東南」「西南」「西北」「東北」「上」「下」などの「十方」と「年」「月」「日」「時」などの「時空」「宇宙」「世界一切の自在」を組み合わせている。 

タンカ

タンカ

タンカとは、(Thangka)とは、チベット仏教に用いられる布製宗教画の総称で、チベットでは「タングゥー」と呼ばれる。布の上に描いた絵画に錦緞裱軸の装飾を加えたもので、中国語では「唐卡(タンカ)」「巻軸佛画」「藏布画」とも称される。 製作に使用する材料や技法から「彩色タンカ」「刺繍タンカ」「織物タンカ」「鉱石タンカ」などに分類される。 
また内容から、転生輪廻や宇宙観をあらわした「曼荼羅(マンダラ)」、釈迦牟尼や阿弥陀如来をはじめとする各仏様、観音菩薩や文殊菩薩をはじめとする各菩薩、大威徳金剛や吉祥天をはじめとする護法神などがある。とくに、チベット仏教に功績のあった歴代のダライラマやパンチェンラマなどの高僧を描くこともある。また独自な発展をとげたチベット医学を反映した「医学タンカ」も大変興味深い。このほか歴史的故事にちなんだものや生活を描いたものも一部には見うけられる。 

タルチョ

タルチョ

民家の屋上や庭、遊牧民のテント、あるいは峠や聖山・聖湖などにはためく白または五色の旗。旗には経文が印刷されており、旗がはためくたびに風が仏法を世界中に広めてくれると考えられている。五色は、物質の五元素(地水火風空)を意味し、地=黄、水=青、火=赤、風=緑、空=白 を表わしている。 
タルチョには、よく馬の絵が印刷されているが、これを「ルンタ」といい「風の馬」の意味。タルチョが風にはためくと馬が天を駆けて仏法を広めてくれると信じられている。正方形の薄っぺらな紙が束になったものが売られていて、峠越えの時に「ラーギャロー」(神に勝利あれ)のかけ声をかけてばらまいたりする。 
カム(東チベット)やシッキム(インド)では白一色の縦長の幟をタルチョの代わりに使用し、「タルシン」と呼んでいる。 

マニ・ドプン

マニ・ドプン

峠や巡礼路などにある石積みの塚。「ラプツェ」ともいう。石や岩に「オンマニペメフム」などの真言(マントラ)や神仏の姿、経文を彫ったり彩色したものを「マニ石」という。有名な「オンマニペメフム」とは、尊格ごとに決まっている祈りのフレーズで、観音菩薩の真言で、「おお宝珠と蓮華に幸あれ」という意味である。ターラ菩薩の真言は「オムタレ・トゥタレ・トゥレ・スヴァハ」という。日本語の「南無阿弥陀仏」のように何かと唱えられる。 
マニ車(マニコル)は、寺院などの入り口に設けられた円筒型のもので、内部に経文が納められていて、1回まわすと経文を1回読んだことになる。巡礼者は、携帯用のマニ車を回しながら、「オンマニペメフム」と唱える。 

チョルテン(仏塔、ストゥーパ、卒塔婆

チョルテン

仏塔(ストゥーパ)は、もともとは高僧の遺物を納めた塔であったが、亡くなった高僧を供養したり、山や川や土地の神様に捧げるために建てられる。内部には、泥でつくった「ツァツァ」などを供える。「ツァツァ」とは、泥や陶製の小型の仏像のことで、宗教的な意味を持つシンボルをかたどったものもある。高僧の遺灰を混ぜて作られたものもあるが、巡礼地に行くと、そのへんの泥を型に詰め込んで作ったものを売っていることもある。 

チョルテン(仏塔、ストゥーパ、卒塔婆

ガウー(護身符)


携帯用の仏壇。中に仏様やお守りを入れて、民族衣裳(チュバ)の懐や背中に入れて持ち歩く。 

法器

法器

ドルジェ(金剛杵)は仏教の儀式で常にティルブ(金剛鈴)とともに使用される。ドルジェは儀式を行なう僧侶の右手にあり方便を、ティルブは左手にあり智慧を象徴している。 
仏陀や護法神に妙音を奉納するときに用いるチューダル(チュー用太鼓)。右手の親指と人差し指で太鼓の胴をはさみ、ゆっくり振る。太鼓に紐で結びつけられたボールが、太鼓の皮に触れて音を出す。太鼓についている布切れは飾りで、ダルチャンという。香木のセンダンで作るのが一般的であるが、子供の頭蓋骨を二つ重ねて使用するものもある。皮は豚皮が多い。ティンシャー(小銅)も仏陀や護法神に妙音を奉納するときに打ち合わせて鳴らす。また餓鬼やさまよえる死者の霊に供物を与える時に、招集合図に鳴らす。 
ドルジェ・プルブ(チベット土刀・金剛)は密教行者の道具。諸神がもつ武器。 カンリン(人骨の笛)は、密教行者が墓地や水辺でこの世にさまよう鬼神に食べ物を施す「チュー」という儀式をするとき、鬼神たちを呼び寄せるために鳴らす笛。処女のまま死んだ女性の大腿骨で作るのが良いという。 

参考書籍

中国少数民族ミャオ族の生業形態中国少数民族事典中国語で学ぶ中国民俗文化雲貴高原のヤオ族―中国少数民族誌雲南―インドと揚子江流域の環中国雲貴高原の少数民族―ミャオ族・トン族中国山東民俗誌―伝統に生きる人々西南中国の少数民族―貴州省苗族民俗誌
  

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