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文殊変(壁画模本) 2007年09月18日(火)更新
西夏
縦375cm、横250cm
甘粛省安西県楡林窟第3篇
敦煌研究院蔵
李月伯模写
文殊は手に如意を持ち、蓮座上の青獅子の背に半跏で坐っている。さとく、猛々しい青獅子は、蓮の花に足を托し、疾走しながらこうべをめぐらして嘶いている。獅子を牽く人物は左手に鞭を握り、右手で力いっぱい手綱を握りしめている。 まわりには、帝釈、梵天、天王、菩薩、羅漢等の聖衆たちが護り従い、果てしなく広い海を堂々と練り歩く様子である。遠くの連山が澄み切った水面にそば立ち、高く聳える仏寺や神をまつる堂の周りをとり囲んでいる。山の頂きには一筋の虹が空にかかり、麓には半ば開いた大門の中から一筋の白い光が放射している。これは多分、宋代の平話(講談)の「大唐三蔵取経詩話」の中で言うところの、仏の住んでいる「鶏足山」であり、作品に表現された境地は神秘的である。この絵は線を主体とし、鉄線と折蘆描を用いて描き、流れる薄雲を縁どるのにもこの二つの方法を採用している。人物の造形のプロポーションもすぐれ、衣冠はすべて道教の服飾の要素を備え、彩色がきわめて簡潔で、「焦墨(渇筆による描法)の墨痕の中に薄く微染を施す」呉道子一派の余風が見えている。山水はすなわち、渇筆で墨をおき、さらに淡彩を施す。わずかに淡彩を施すことで、山林の蒼茫として厳かな感じが表われている。このたぐいの画法は明らかに南宋の水墨山水画の影響を受けている。人物の形体と線描は比較的かたく、この期の独特の風格を代表している。出所:『敦煌・西夏王国展』図録
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