時代別順
分野別順
|
銀如意(法門寺) 2007年11月11日(日)更新
唐・咸通13年(872)銘
鍛造
1987年法門寺塔基地宮後室出土
長60.0cm、頭幅21.4cm、386.5g
法門寺博物館蔵
如意は、説法などの席で師僧が手にし、威儀を正すのに用いられる仏具である。金属・木竹・玳瑁・貴石など、さまざまな素材によって仏教文化圏の各地で広範に制作、使用され、供養具としても用いられる。孫の手(麻姑)のように頭部が手の形をしたものと、銀鍍金仏像文如意・銀如意のように雲形をしたものの2種があるが、長い柄を備える基本的な形制は、地域や時代を問わず、ほぼ一定している。
法門寺地宮で発見された如意は、銀鍍金仏像文如意・銀如意の2点である。「衣物帳」にも、尼僧の弘照が奉納した「銀如意一枚重九兩(両)四銭」と、同じく尼僧の明粛の奉納になる「銀如意一枚重廿両」という2点の如意が記録されていて、ここでも、発見された遺物と「衣物帳」の記事との一致を見る。重量(1両=約40g)から判断すると、弘照の奉納品が銀如意、明粛の奉納品が銀鍍金仏像文如意こ該当しよう。銀如意は、文様のない素面となり、銀鍍金仏像文如意に比ベて、かなり薄造になる。
銀如意の柄の裏側には、別記の刻銘があり、咸通13年(872)、文思院(宮中用の金銀器制作所)で作られたことが判明する。そこに記された制作年代、制作所、制作者の名が、明粛の奉納した銀柄香炉)の銘文に見えるものとほとんど一致するのは興味深い。これらの銘文や諸般の事情を考慮すれば、尼僧の弘照と明粛は、ほぼ同時期に、かたや銀如意、かたや銀柄香炉を宮中から下賜された後、それらを、銀鍍金如意はかの品と合わせて、法門寺地宮へ寄進したという、地宮本納品をめぐるかつての経緯の一端を推察することができる。出所:「唐皇帝からの贈り物」
関連情報
|
|
Copyright 2006 abc0120 All rights reserved.