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白磁碗 2007年11月20日(火)更新
唐・9世紀
定窯
1972年西安市東郊長楽坡出土
口径14.3cm、高4.3cm、重230g
唐代の代表的な白磁窯である河北省の邢窯は、唐代中頃(8世紀)に最盛期を迎え、晩期(9世紀)には次第に衰退に向かい始める。一方、同じ河北省にある定窯は衰退期に入った邢窯の技術的系譜を引き継ぎながらは晩期から大きく発展し、五代・北宋代・金代(10~13世紀)にかけて華北を代表する白磁窯として繁栄した。
本品は、定窯が発展を始める唐代晩期に位置づけられる作例で、いわゆる「玉縁口縁」と呼ばれる端部が丸くなる口縁をもった碗である。体部が直線的にひらく単純な器形で、底部には「玉璧形」と呼ばれる幅の広い高台が削り出されている。釉は柔らかい光沢を持つ落ち着いた乳白色で、外側面には「涙痕」と呼ばれる釉流れが見られる。底部は無釉で、高台を成形した際の粗い削り痕が残っている。邢窯でも同形のものが生産されているが比較的精品が多く、このようにやや粗い作りのものは定窯の製品と考えられる。法門寺地官からも同形の白磁碗が1点出土している。
このタイプの白磁碗は、中国国内で使用されただけでなく、越州窯青磁などとともに東アジアから西アジア・東アフリカにわたる広い地域に輸出されており、唐代晩期の中国陶磁の流通を考える上でも貴重な資料である。出所:「唐皇帝からの贈り物」
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