唐・8世紀
鋳造
1970年西安市南郊何家村窖蔵出土
（盒）径15.6cm、高6.7cm
（盒）1500g
陝西歴史博物館蔵
　何家村窖蔵から発見された薬材容器のひとつ。出土時には、蓋裏の墨書に記されたとおり、朱砂琥珀が納入されていた。中国では、こうした鉱物あるいは貴石の類は、古来、薬材としても珍重されてきたものである。
文様などの装飾がほとんど見られない簡素な器形ながら、蓋と身がかっちりと合わさった精巧な口造りや、端正な曲面をもつ各面の造作、また、よく整った挽目など、この種の器物の制作に精通した熟練の技を見て取ることができる。鋳造によって成形された胎は分厚く、全体にずっしりとした重量感があり、珍貴な薬材を入れるのふさわしく、良質な銀がふんだんに使用されたことがわかる。
本器の他にも、何家村からは、各種の薬材を納めた銀盒10数点と、薬具と考えられる金銀器が数種類（30点余）発見されている。金銀の薬具は、当時の医薬あるいは丹薬（不老不死を得るための薬）を調製したり、貯蔵したりするための器と見られ、本器のような薬盒とともに、当時のこの方面の実状を端的に示してくれる得難い遺品である。出所：「唐皇帝からの贈り物」

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