唐・8～9世紀
鍛造
1975年西安市西北工業大学建設地出土
口径25.0、高4.6cm、重398g
西安市文物保護考古所蔵
　西安市の西北工業大学の建設中に、銀製の碗盤類5件ほどが一括して出土した。それらの中に銘文の記された遺例があり、そこに名前が見える官僚貴族の生没年や、器物の作風から、いずれも唐代後半期の制作になるものと推定されている。本器は、それらの内の１件である。大きさに多少の違いがあるものの、ほぼ同形式の碗で、本品、内底に鴛鴛と鴻（大形の雁）が戯れる様子を表わし、内外の側面に6個ずつ団華文を置き、口縁内側に花弁状の文様をめぐらす。鴛鴦・鴻は夫婦和合を、石榴は多子多福を象徴するとみられ、金銀器をはじめ、当時の器物に表現された文様は、何らかの意味で吉祥（めでたいしるし）に関わりがあると考えられる。上流階級の常用にも供されたであろうこれらの金銀器は、単に華やかな色合いや美麗な意匠に重きが置かれたばかりでなく、いつの世にも共通した、幸福を願う人々の思いが込められたものでもあった。出所：「唐皇帝からの贈り物」

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