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渡頭帘影図 2007年12月08日(土)更新

渡頭帘影図

【和:ととうれんえいず
【中:Du tou lian ying tu
明・清|彫刻・書画>渡頭帘影図

唐寅筆
絹本墨画淡彩
縦170.3 横90.3
明・十五~十六世紀
上海博物館
 唐寅は字を伯虎、子畏といい、六如居士、桃花庵主などと号した。名の寅、字の伯虎、子畏は寅歳の生まれに因んだものという。明の成化六年(1470)、呉趨里(江蘇省蘇州)で生れた。同年に文徴明が生れている。俊敏多才で詩文にすぐれ弘治十一年(1498)、二十九才で南京において官吏登用の郷試で解元(首席合格)となったが、翌年、北京の会試の際に不正事件に連座して投獄され官僚としての道を閉ざされ失意の内に帰郷した。みずから「江南第一風流才子」といい、沈周、文徴明、祝允明、張霊をはじめ蘇州の多くの文人と交友し、売文売画をして貧困の生活を送ったが、飲酒遊蕩を極めて逸事奇行を多く残している。嘉靖二年(1523)の暮、五十四才で歿した。文徴明、祝允明、徐禎卿とともに呉中四才子といわれる。書は唐の顔真卿、元の趙孟頫を学び、画は周臣に学んだといい、山水、人物、花井などをよくした。山水画は李唐、馬遠、夏圭などの南宋院体画風、李成・郭熙派、元末の四大家など様々なものを師法したが、その画技は職業画家を凌ぐものがあった。
渡頭帘影図は山中に清遊する文人の生活をあらわしており、高く聳える山の中より落下する瀑布の近くの書斎では一人の文人が読書し、渓岸には舟を待つ三人の文人などが描かれる。円熟した的確な表現とともに、岩山や深渓水上に直立する岩石の鋭角的な形態には明末を予告するようなエキセントリツクなものがある。図上には「枯木傾斜古渡頭、鮮包席地待漁舟、隔林遙見青帘影、醵取青銭買酒瓶、蘇台唐寅」の題賛と「南京解元」朱文長方印、「唐寅子畏図書」朱文方印、「六如居士」朱文方印がある。六如居士の六如とは人世一切のことを夢、幻、泡、影、露、電の六つの如しと喩えて「空」「無」を説く『金剛般若経』にもとづくもの。「南京解元」印と「六如居士」印の併用は不覇奔放の士であった唐寅が、得意と失意の後に「滑稽にして世を玩ぶ」士人として得た自在さを象徴するように思われる。出所:「上海博物館展」

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