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天部立像 2007年12月13日(木)更新
石造彩色
総高79.0
唐・八~九世紀
上海博物館蔵
石灰岩一材から彫出する。瞋目の形相をして、右腕を振り上げ腰を右にひねりながら岩座上に立つ。獅子冠を被る像容から、天竜八部衆のうちの乾闥婆であると思われる。乾闥婆の現存作例は、中国では麦積山石窟四号崖閣、四川省広元皇沢寺石窟、同省広元千仏崖釈迦多宝窟、同省巴中始寧寺第八号釈迦説法窟など、朝鮮では石窟庵浮彫、わが国では法隆寺五重塔塔本塑像、興福寺旧西金堂像などが知られている。八部衆は釈迦の眷属として四天王と同列に扱われる場合、釈迦の涅槃に参集する者として登場する場合などがあるが、本像は守護紳として製作されたものであろう。
甲胄は古来様々な形式が存在し、時代を反映する貴重な資料として重要な研究の対象になっている。頸護、下甲、胸甲、被膊、帯、獅噛、華形の鶻尾、膝裙、吊腿などを具えた本像の甲青は、八世紀以降に現われる形式である。
ずんぐりとした体躯、下ぶくれの迫力ある顔貌は、八世紀の作とされるフランス・ギメ美術館所蔵の木彫天王像などを想起させるが、量感に溢れながらもいささかバランスを欠いた造形、特に腰のひねりと重心のかかり方の不整合、衣褶線の形式化した表現などは、本像の製作年代が中唐にかかるものかと思わせる。
中央が尖った枠上部の形からみて、当初は何らかの建造物に填めこまれていたものと思われる。出所:「上海博物館展」
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