考古用語辞典 A-Words

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緙絲蓮池水禽図 2007年12月15日(土)更新

緙絲蓮池水禽図

【和:こくしれんちすいきんず
【中:Ke si lian chi shui qin tu
宋・遼・金・元|彫刻・書画>緙絲蓮池水禽図

朱克柔作
縦107.5 横108.8
宋・十二世紀
上海博物館
 水辺に遊ぶ鴨と鷺の姿を写しだしたこの図は、確かな意匠構成と熟達した技によって、まるで一幅の絵画のように仕上げられている。宋代の緙絲はこの見事な写実性によって、古来高く評価されてきているものであるが、現存する作例は極めて少ない。朱克柔作とされる緙絲には、他に遼寧省博物館所蔵の「山茶図」、「牡丹図」などがあり、いずれも色彩と形象の美しさに定評がある。
緙絲は刻絲・剋絲・克絲の文字も当て、日本でいう綴織をさす。綴織の特徴は、中国で端的に「通経断緯」というように、機台に張った経糸に対し、緯糸は文様に従って部分的に織り嵌めていくために、織幅一杯の通し糸がないことにある。こうした綴織は単純な機台で制作できることから、世界の各地域で古くから行なわれている。今日著名なエジプトのコプト織(紀元二世紀~七、八世紀)、中近東遊牧民のキリム、ヨーロッパのタピスリーやゴブラン織などのほとんどは、この綴織を基本としたものである。
しかしこれらがその素材に、毛を主として麻や綿を用いてきたのに対し、中国では古くから絹を素材とした精緻な絹綴を発達させてきた。この絹綴の制作が既に唐代初期に始まっていたことは、トルファン・アスターナ張雄夫婦墓(633~688)発見の女子木俑がつけていた、細い綴の帯などによっても明らかである。
そして宋代に至り、絵画的な刺繍、即ち「繍画」の発達と共に、緙絲にも鑑賞を目的とした作品が求められるようになった。その結果、南宋代には臨安(杭州)、雲澗(上海)などの地に緙絲の名工が輩出したといわれる。この作品の作者朱克柔もまた雲潤松江の人である。出所:「上海博物館展」

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