花文蓋碗     2008年07月10日（木）更新

銀，鍍金 
高11.9、口径21.8
陝西省西安市何家村出土
唐時代・8世紀
陝西歴史博物館
　安定感のある器の上に大きめの蓋がかぶさった容器。各部は鍛造になり、蓋上部の把手と器下端の圏足をそれぞれ溶接し、蓋と器の表面に、合計13個の花文を線刻し、そこに鍍金を施して仕上げている。このような形式の碗は、金銀器ばかりでなく、青銅器などでもしばしば制作され、日常の多目的な容器として盛んに使用されたと見られる。日本でも、法隆寺献納宝物をはじめ、類例が多々知られている。唐時代の円形ないし球形の器では、曲面に独特の張りと緊張感がみなぎっているが、この種の器のように、魚々子などの細密な文様表現がないタイプのものでは、そうした唐時代特有の造形をことによくみて取ることができる。
なお、蓋の内面に「二斤一両并底」、器の内底に「二斤一両并蓋」という墨書があり、圏足の内側には「進」という字が針書されている。斤と両は、ともに重さの単位で、唐時代には、1斤が約600g、1両が37～38ｇに相当する。出所：『遣唐使と唐の美術』