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錫杖 2008年07月12日(土)更新
青鋼・鍛金、銀
長32
陝西省西安市臨潼区慶山寺地宮(開元29年(741)埋納)出土
唐時代・8世紀
臨潼区博物館
錫杖は、本来、僧侶が山野などを歩行する際に護身のために用いるもので、後に儀礼ないし供養の道具としても使用されるようになった。この作品は、全体に小ぶりに作られていることから、実用ではなく、儀礼用に制作されたものと考えられる。柄は、青銅製で、8角形に面取りした上に鍍金を施し、その上端に塔形の部位をのせる。頂部の鐶は、銀棒を宝珠形に曲げて、基部を柄の上部に差し込んで留めている。寺院の地下に造られた舎利(仏の遺骨)の安置場所に奉納されていたもので、大切な舎利に棒げるものであったためか、細部までていねいに成形されている。唐時代の仏具は、今日ではさほど類例が知られず、とくに錫杖の遺品は数例が知られるのみであり、きわめて貴重な遺例といえる。
この作品が発見された慶山寺の地宮(地下室)は、全長4m強、幅1.5mほどの比較的小規模な遺跡であるが、舎利を納置した石製の豪華な容器をはじめ、ガラス器、金属器、陶磁器といった各種の奉納品や浄上の壁画など、貴重な遺物が多数発見され、唐時代の舎利信仰の実態を探る上で、重要な遺跡となっている。出所:『遣唐使と唐の美術』
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