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馬冑・馬甲 2008年07月22日(火)更新
【和:ばちゅう・ばこう】 |
【中:Ma zhou ma jia】 |
春秋戦国|>馬冑・馬甲
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皮製漆塗り
馬冑・馬甲は次の甲冑と同じように、大尊缶・武器あるいは竹簡などとともに北室に納められていた。出土した多くの破片から復原されたものは、二領分であるが、どちらも不完全である。馬の頭部にすっぽりとかぶせる冑や、頸・胸・胴部などをおおう甲といった部分からなっている。
発掘されたとき、すでに腐食がかなりいちじるしく進んでいたため、素地として用いられた皮はほとんど朽ちていたが、わずかにのこる部分を鑑定した結果、それらはいまだ加工していない生皮で、それも牛の皮を使っていることが判明した。
甲[2~10]はいろいろな形をした皮の截片に穴をうがち、それらを絹糸で帯状に編んだ紐でつづってつくっている。甲片のかたちは数種類あり、 それらには黒漆を3回、
もしくはそれ以上塗りほどこし、そのうえに、雲紋、あるいは幾何風の紋様を朱漆でえがいているのがほとんどであるが、そのなかに、そういった比較的簡単な紋様とは別に、雲紋のような紋様を地紋に蟠虺紋をあらわした甲片(これがはたして甲片であるかどうか確定できないが)がみうけられることが注目される[2]。さらに、これら甲片[3~10]で特記されることは、一見同じようにみえ
る雲紋・幾何風の紋様が、よくみると、その画風から大きく二種類にわけられることである。図の3から6のグループと、7から10のグループがそれで、前者は後者にくらべて紋様がこまかくなっている。これが別々の馬甲のものであることを意味しているのか、ないしは制作した工人のちがいを示しているのか、にわかに判断することはむずかしいが、たいへん、興味をそそる点ではある。
一方、冑[1]は一枚の皮を用いて成形したもので、これは頭部の左半分の残片である。上方の円形の部分はちょうど、馬の目にあたるところで、そこには、龍や、鳥の頭、もしくは頭部に鹿角をもち、さらに鹿の足などのある怪獣などが,馬甲と同じ手法であらわされている。ここでは、馬甲とは対照的に、こまかい地紋はいっさいほどこさずに、 黒漆地のままにして龍などの紋様をくっきりと浮かびあがらせる方法をとっている。そして、それらの紋様はことごとく、手なれた手法で生き生きと表現され、これはみる者を思わず神話の世界にひきずりこんでしま
うような魅力さえたたえている。
いずれにせよ、この馬冑・馬甲は、中国のこれまでにみとめられるもののなかでは最古の遺品であり、中国の馬具史研究にかけがえのない貴重な資料となっている。出所:『曾侯乙墓』
特別展 日中国交正常化20周年記念
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