考古用語辞典 A-Words

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明黄色刺繍朝袍(皇后用)  2008年07月29日(火)更新

明黄色刺繍朝袍(皇后用)
【和:めいこうしょくししゅうちょうほう
【中:Ming huang se ci xiu chao pao
明・清|絹・衣類>明黄色刺繍朝袍(皇后用)

清代の皇后が元旦や皇帝の誕生日などの儀式で着用した礼服
清・光緒年間(1875ー1908)
着丈:140.0cm 両袖通長174.0cm 袖口26.Ocm 裾幅:79.0cm
  明黄色の薄い絹地に雲龍文を刺締した袷仕立ての朝袍である(朝袍は礼服として着用される長い着物)。明黄色朝袍は、清代皇后の礼服の一つで、皇后は毎年の元旦、冬至、万寿節(皇帝の誕生日)および親蚕(皇后が自ら行った蚕を養う儀式)など重要な儀式の際に、こうした礼服を着用して参列しなければならなかった。皇后の礼服は朝褂、朝袍、朝裙(裙は腰から下を覆うスカート状のもの)からなり、着用時は必ず三つあわせて着用しなければならなかった。皇后朝袍は左右が裾までまっすぐな直身式の袍に属し、その形は丸首で襟がなく、肩飾りがつき、両肩に縁どり布があり、右袖つけの部分が上前あわせになっていて、袖は馬蹄形、裾は左右開きになり、彩雲、金龍、波涛文、岩山の模様が刺繍されている。この明黄色の薄い絹地に刺締をほどこした皇后の朝袍は、刺繍にしてもあるいは染色にしても最上のものというわけではないが、その模様にはひときわ目立った特色がある。よく知られているように十二章模様(古代、皇帝の服につけた12の飾り模様)(太陽、月、星、山、龍、黼く斧の模様〉、黻く二つの弓を背中合わせにした模様〉、華虫く雉子〉、宗彝〈儀式用の祭器の一つ〉、水藻、火、粉米く白米のこと〉)は、皇帝の権力の象徴であり、清朝の皇帝の朝抱と龍抱だけに用いられた模様であったが、この皇后の朝袍にこれらの模様が見られるのは、そこに皇帝の権力を我がものにしようという野望がひそんでいたからではないだろうか。では誰がこのような天下の大悪をあえて冒したか。それは中国の歴史上あまりにも有名なエホナラ氏出身の慈禧皇太后(西太后)(1835~1908)である。慈禧は「垂簾聴政」」(太后、皇太后が幼い皇帝にかわって政治を行うこと)を行うようになってからは自らを清朝の則天武后(唐第三代皇帝の皇后で皇帝にかわって自ら帝位につき専制政治を行った人物)と大言した。彼女は女帝さながらにふるまい、当然のように十二章模様を用いはじめたため、清朝末期の皇后朝袍もこれにならい始めた。この十二章皇后朝袍は、こうした史実を伝えており、その出現は清朝の厳格な冠服制度が完全に崩壊してしまったことを示している。ただ、この朝袍には十二章のうち八章しか用いられておらず、この朝抱の持ち主は十二章を使用するにあたっては少々はばかるところがあったようである。出所:北京・故宮博物館名宝展-紫禁城と中国4000年の美の秘宝

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