考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第二六三窟南壁  2008年09月15日(月)更新

莫高窟第二六三窟南壁
【和:ばっこうくつだい二六三くつみなみへき
【中:Mo gao ku di 263 ku nan bi
晋・南北朝|彫刻・書画>莫高窟第二六三窟南壁

降魔図(復元模写 段文傑、高山)
紙本着色
縦180.0 横230.3
北魏
  第二六三窟は北魏時代に開鑿された中心塔柱窟で、西夏時代に重修を受け、壁画の多くに上塗りが施されて西夏独特の千仏図などが描かれていた。しかし一九四〇年代に、西夏時代の上塗り壁画の一部が剥離されて、仏説法図、三仏図、降魔図などが北魏当初の姿を現した。これらの図は、剥離の際に損傷を受け、細部には不明陳な箇所も少なくない。
本図は、前室部南壁の降魔図を詳細に観察し、また同時代の降魔図を参照しながら損傷箇所を補い、変褪色を元に戻し、北魏時代当初の画面を進らせようと試みた復元模写図である。主題の降魔は、仏誕、初転法輪、捏槃と共に釈迦の四大事蹟の一つに数えられ、釈迦が三五歳で苦行を捨て、ブッダガヤのピッパラ樹(後に菩薩樹と呼ばれる)下で禅定に入り、まさに成道を得ようとする時に、魔軍の来襲に遭い、これを降伏させて悟りを開いたことをいう。瞑想に耽る釈迦の心の内に表われた恐怖や煩悩を象徴するこれらの事象は、さまざまな小乗仏伝聖典に説かれ、浮彫や絵画遣例もインドをはじめとして広く分布している。敦煌石窟壁画では、北魏時代の第二五四窟に敦煌最古の優れた降魔図があり、本図とはその窟内での位置や構成・構図においてほぼ軌を一にしている。
図の中央に大きく釈迦を描き、その両膝脇で剣を取るのが魔王波旬で、牛頭や馬頭、腹に顔のあるもの、山岳を持ち上げて怪力を誇示するもの等々、奇怪な姿と武器を持って威嚇し、あるいは二人の娘の媚態をもって誘惑しようとするところである。しかし釈迦が右手で大地に触れると、魔軍は大地にひれ伏し、また三人の娘(左下)も釈迦の神通力で醜い老婆(右下)と化せられてしまう。
敦煌第1期、特に北魏時代以前の壁画に通有の赤茶色の下地に、とりどりの彩色が映える鮮烈な画面であったことが知られるが、特に肌色の肉身に施された隈の当初の色調をこの復元図で見ることができるのも貴重である。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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