考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第三〇五窟窟頂  2008年09月16日(火)更新

莫高窟第四一九窟人字披東側
【和:ばっこうくつだい三〇五くつくつちょう
【中:Mo gao ku di 305 ku ku ding
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第三〇五窟窟頂

三兎蓮華藻井(模写 王陽琳、李其瓊)
紙本着色
縦68.5 横68.6

  第二〇五窟は、″開皇五年正月″と説まれる発願文の一部が遺ることから、開皇五年(五八五)の造営になる隋代最初期の基準窟である。
天井は、緩やかな傾斜の伏斗形窟頂の中心にラテルネンデッケ(三角持ち送り式天井)の藻井部を作り、その四周に魚鱗形や三角形垂飾、垂幔を大きく巡らせて、藻井全体で華蓋を表す。その外周を龍車に乗る帝釈天(東王公)、鳳車に乗る帝釈天妃(西王母)をはじめ種々の神怪、飛天、比丘等が風に旗や天衣を靡かせて飛翔するという豪壮な一大天空表現をなし、そのダイナミズムは、この小窟内を圧倒するばかりの勢いである。
ラテルネンデツケは、イラン・アフガニスタンで用いられた建築天井の構架法であるが、それが石窟寺院では天丼の装飾文様として取り入れられた。ラテルネンデツケの中心の方形部分には上から見た丸い蓮華を描き、組み合わされた桁の間にできる三角の区画には、飛天やパルメット文様などが配される。こうした藻井意匠の典型例には西魏の第二四九窟があるが、同時代の第二八五窟ではラテルネンデツケの四周に垂飾が巡らされ、ここにおいて窟内全体を覆う天蓋としての機能を併せ持った華蓋が生まれ、本図の第三〇五窟へと受け継がれる。
本図の三角形の区画には、内側に鳥獲(または羽人)、外側には飛天が各四体ずつ組み込まれ、複弁の蓮華の花心に三兎を描く。三兎は耳を片方ずつ他と共有して中心に三角形をかたどりながら駆け巡り、その奇抜でほほえましい図案は、隋代からしばしば用いられている。なお、本図は縮小模写である。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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