考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第五七窟南壁  2008年09月17日(水)更新

莫高窟第五七窟南壁
【和:ばっこうくつだい五七くつみなみへき
【中:Mo gao ku di 57 ku nan bii
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第五七窟南壁

仏説法図(模写 杜顕清、楊麟翼)
紙本着色 ‐
縦173.5 横166.0
初唐
莫高窟第五七窟南壁:本図は、敦煌莫高窟壁画仏説法図としては、最大級の規模のもので、初唐時代最初期、貞観年間(627~649)前半頃の制作と思われる。
仏説法図は敦煌莫高窟造営の最初期から始まる重要な主題で、時の流れと共にさまざまな変遷を遂げながら発展し、この時代に美しい実を結ぶ。その最も完成度が高く優れた作例がこの画面である。中尊坐像の左右、後方に諸尊が立ち並び、背後の空間は何も描かれず閉ざされ、横への広がりも乏しく空間の自然な表現はまだ十分熟してはいないが、逆に画面には密度がある。
画面中央の如来像は、顔面をはじめとして肉身に施された金箔がはぎ取られ、相好は著しく損なわれている。如来の台座前面中央に供物台、そしてその左右にはそれぞれ毛色の違った獅子一対が尊踞して「おり、仏前におけるこうした供養形式も、前記第三三二窟仏説法図の胡坐する小菩薩が獅子に代わっただけでよく似ている。 如来の左右の脇侍菩薩の透明感のある天衣や華麗な装身具に飾られたその優美な姿は、本画面を最も印象深いものにしているといえよう。向かって左脇の菩薩は宝冠正面に化仏を戴き、観音であることを示しており、この図を観音・勢至菩薩を従えた阿弥陀三尊の説法図と考えることもできる。
仏と左右脇侍菩薩のあいだはそれぞれ一比丘(左阿難・右迦葉)が姿を表しており、本図は、壁画では隋代に始まる一仏二菩薩二比丘の五尊形式の説法図を根幹としている。他に金剛力士、菩薩八体、飛天などが描かれている。 白土下地の明るい壁面に描かれる菩薩達の肉身は淡い肌色に塗られている。面貌各部や手指などを描き出す淡墨のしなやかでのびのある下描線が彩色の下から透けており、描き起こしの朱や墨の線は施されていない。観音菩薩では淡いサーモンピンクの色調を呈する面貌部分に眉・鼻筋・頬の輪郭などのうっすらとした墨線がみえ、瞼と頬・顎などにさした紅の暈しが、艶やかさを感じさせる。 一方、手や胸などの肉身は肌色が全体に変色して灰色を帯び、また輪郭線は下描、あるいは描き起こしの線のいずれも見あたらず、現在では没骨描風にみえる。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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