考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第二二〇窟南壁[舞楽図]  2008年09月18日(木)更新

莫高窟第二二〇窟南壁[舞楽図]
【和:ばっこうくつだい二二〇くつみなみへき
【中:Mo gao ku di 220 ku nan bi
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第二二〇窟南壁[舞楽図]

阿弥陀浄土変相図部分[舞楽図](模写 霍秀峯)
紙本着色
縦103.7 横274.0
初唐 642年
  本図は、第二二〇窟の南壁阿弥陀浄土変相図の下部中央に描かれた舞楽会の部分模写である。 阿弥陀浄土図・観経変相図に不可欠のものとして、ほほ例外なく見られるのが舞楽菩薩の一群で、舞楽会と呼ばれる。この阿弥陀浄土図は、その先駆的な性格から、浄土景観の構成をはじめ諸処に初発的な色が濃いが、舞楽会そのものは、はやくも十分な形式が整えられている。
舞楽会は、浄土図の構成に従い、左右対称的対表現を基本として、画面下部に横に長く配置される。なお舞楽会は、奏楽音院の壇、舞善薩の壇と区分されるのが一般的であるが、ここでは同一平面上にある。中央では二体の舞踏の菩薩が、丸い毛氈の上で片足をあげ、天衣を両手で巧みに繰りながら、相対して舞っており、十透明の裳を透かして見える両脚の部分だけが黒く変色している。
『通典』(巻一四六)四方楽・康国の条に「舞急転如風、俗謂之胡旋」とあって、これを胡旋舞と見なしたいところであるが、異論もあって断定は避けたい。舞曲の名称はともかく、対をなして相い向かって(あるいは一体ずつ前後ろを向いて)天衣をとって舞う菩薩のモチーフは、浄土図の系譜の中で受け継がれ、我が国の平等院鳳凰堂柱絵装飾の文様にまでいきいきとした命脈を保っている。
奏楽菩薩群は、八体ずつ左右に分かれて毛氈上に胡坐し、向かって右方では、羯鼓(台上に置くのが普通だが敦煌画では台はない)(細)腰鼓・打楽器(腕にかかえる楷鼓か)・横笛・特鼓(答臘鼓)・縦笛(篳篥)・法螺・簫(明以来のいわゆる排簫)を、左方では、箏・笙・琵琶・方響・竪箜篌・縦笛(尺八)・拍板(か)・排粛(か)を奏でている。これらの楽器は、弦が三、管が七、打が六で唐代の主要楽器をほぼ網羅している。
これらの舞楽菩薩のほとんどは白肉色の肌(薄く橙色の隈を施す)で一部に黄褐色のものを交え、淡墨細線(舞菩薩のみ朱線)で描き起こす。着衣の緑青・朱・などもよく鮮やかさを保ち、毛氈の群青がこの舞楽会の色調を一層引き立てている。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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