考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第三二〇窟北壁  2008年09月18日(木)更新

莫高窟第三二〇窟北壁
【和:ばっこうくつだい三二〇くつきたへき
【中:Mo gao ku di 320 ku bei bi
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第三二〇窟北壁

観経変相図部分[中台」(模写 段文傑)
紙本若色
上 縦113.0 横207.5
下 縦113.3 横207.5
盛唐
  本図は、第三二〇窟主室北壁観経変相図の左右両縁の序文義および十六観部分を省いた中台、すなわち阿妬陀極楽浄土図の全景である。本窟造営は、盛唐時代後期開元年間も末頃の造営とみられ、阿弥陀浄土図相も進展整備が著しく、今日我々が当麻曼茶羅中台に見るものに近づいており親しみ深い。比較的小窟のため両面も狭く、広壮な浄土空間を現出するには至らないが、中央に阿弥陀三尊以下諸尊の集う華座段、それを取り囲む宝楼段を描き、画面をほぼ三分するようにその前方を蓮池としてそこに宝壇を設け左右に相対して樹下会を、中央には舞楽会を配する。蓮池では奏楽・舞踊の菩薩、あるいは迦陵頻伽、孔雀、鴛鴦などが、この極楽阿弥陀浄土の蓮池に化生した童子たちを歓び迎える光景が展開している。なお羊座段左右にそれぞれ描かれる一楼閣内の思惟形菩薩は、当麻曼陀羅にはないモチーフで、本図にやや後れるが大規模な浄土景観を描き出した第一七二窟の北壁観経変相図にもみられ、幸いに阿弥陀浄土に生まれ得た者が、さらに成仏するべく阿弥陀の説法を聴いて修行するところを表すものであろう。
画面全体に比して阿弥陀三尊は、特に大きく正面視され、中尊の広く厚い胸、細く締まった胴、張り出した両膝など生々たる体躯や、また同尊の頭。身光背装飾が、それまでの蓮華や宝相華文様に代わり我が国平安初期の密教曼茶羅などのそれに見られる幾何学的な文様となっているのもこの頃の新しい表現である。
諸尊の黒い肉身色は、当初の淡紅色が変色したものであるが、 一部には灰色に変じたものもあり、顔料の調合の際の微妙なさじ加減が後代になってかなりの相異を生じることを示す好例である。しかし中尊やその向かって左の脇侍菩薩の強く弾力的な鉄線描による描き起こしの描線は、鮮やかな朱色を遺している。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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