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莫高窟第三三五窟北壁 2008年09月19日(金)更新
【和:ばっこうくつだい三三五くつきたへき】 |
【中:Mo gao ku di 335 ku bei bi】 |
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第三三五窟北壁 |
維摩変相図(模写 段文傑)
紙本着色
縦144.1 横258.5
初唐
本図は、初唐時代末の第三三五窟北壁の維摩経変相図全図で、現状模写とは異なり、原壁画の損傷部分や、変色はしていてもある程度旧状に復せる部分には修復の手を加えた模写である。第三三五窟には垂栱二年(六八六)の題記のほか、北壁には聖暦年間(六九八から七〇〇)の張思芸敬造題記があり、本図の原制作年代もほぼ明らかである。
維摩変相図が、これまで窟内西壁仏龕左右の狭い壁面にニ分されて描かれ、ようやく第二二〇窟において東壁のやや広い壁面に移ってもニ分されることには変わりなかったのに対し、それに飽きたらず北壁の全面に一図に表された本図は、従来の文殊と維摩の問答(問疾品)・見舞いに訪れた国王・大臣・各国王子ら(方便品)を中核とする構図の基本を継承しながら、両者を直接対面させることによって格段に迫真性を増し、その周辺に広壮な画面空間を獲得して、新たに経中の諸場面を加えて幻想性を強め、絵画ならではの表現を随所に発揮したモニュメンタルな作例で、本模写図においてその全貌を窺うことができるのはまことに幸いである。なおこの変相を一図に表す先行作例は、第三三二窟北壁にあるが、その図が全く紹介されていないことが惜しまれる。
画面右上は、維摩話が聴衆の求めに応じて、妙喜国の大海中の阿修羅が守護する須弥山世界を現出させた奇跡(見阿問仏品)、維摩話の几帳上部は、維摩詰が東方須弥相国から諸天・菩薩を坐らせるために多数の獅子座を彩雲に乗せて飛来させた奇跡(不思議品)、文殊と維摩詰のすぐわきの天女と比丘の問答(観衆生品)、上空より維摩話の前に雲に乗って飛来する諸菩薩や、香飯を盛った鉢を奉じる菩薩、その中の香飯を菩薩が大地に注ぐのは(香積仏品)、左上は釈迦に長者子の宝積が七宝の宝蓋を供養する(仏国品)の各場面である。
本図において敦煌における維摩変相図はほぼ完成を見るが、一方、諸尊・人物に初発的な表現意欲に裏打ちされた雄勁さをやや欠いていることも否めない。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念
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