考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第一〇三窟東壁南側  2008年09月19日(金)更新

莫高窟第一〇三窟東壁南側
【和:ばっこうくつだい一〇三くつとうへきみなみがわ
【中:Mo gao ku di 103 ku dong bi nan ce
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第一〇三窟東壁南側

維摩経変相図部分[各国王子](模写李其瓊)
紙本着色
縦78.1 横92.6
盛唐
  第一〇三窟は、盛唐時代後半天宝年間(七四二ー七五五)、日本の天平時代盛期にあたる時期に造営された窟で、天平絵画遺品と関わりを持つ壁画の多いことでも注目したい窟である。
本図は、東壁門口左右に大きく描かれた維摩変相図の南側、維摩詰の下方部分、『維摩経』(香積仏品)に説かれる場面で、化菩薩が維摩詰に香飯を献ずるとその妙香が三千世界に満ち、各国王子もみなこの香飯を見たという。
この維摩変相図全体は、窟内の配置、構図において、遡ることほぼ一世紀の初唐時代貞観十六年(六四ニ)の第二二〇窟東壁維摩変相図とよく類似していることで知られ、逆に言えば第二二〇窟壁画の先進性と後代に及ぼした規範の大きさが改めて認識されるというべきであろう。 しかし本図の画家は、構図の基本を積極的に継承しながら暢達した墨描線を駆使して、的確に対象を捉えると同時に明快な空間性をも獲得し、同じ第一〇三窟でも南壁法華経変相図や、東壁門口上の維摩変相仏国品図などの、濃彩のうえに端正な細筆で描き起こしを施した伝統的画風とは異なる、全く新たな感覚による画風を展開している。描線は、おおよその下描線をたよりに一気呵成に引かれたようでいてしかしその肥痩、緩急、濃淡、強弱など多様な機能と表情とが余すところなく発揮され、活力溢れる人間像を形づくる。それは特に維摩像において著しい。第二二〇窟壁画とは対蹠的な平明さがここにある。
各国王子像は、第二二〇窟壁画のそれよりさらに南北辺地の少数民族の風が強く、多彩な風俗表現が楽しめるが、しかしその面貌表現には僅かな類型化が認められる。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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