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莫高窟第一一二窟南壁東側 2008年09月20日(土)更新
【和:ばっこうくつだい一一二くつみなみへきひがしがわ】 |
【中:Mo gao ku di 112 ku nan bi dong ce】 |
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第一一二窟南壁東側 |
観経変相図部分
[舞楽会・反弾琵琶](模写呉栄鑑)
紙本着色
縦53.8 横75.8
中唐
本図は、中唐時代の第一一二窟南壁に描かれた観経変相図の舞楽会を中心とした部分模写である。
中唐以後、窟内南北壁をはじめとして一壁面に二幅、三幅と多数の経変を並列的に図示することが盛んになる。経変としては、観経変、弥勒経変、東方薬師経変、維摩詰経変などが相変わらず多数を占めるが、金剛経変、報恩経変、天請問経変などが新たに加わった。
第一一二窟でも南壁の東西に観経変と金剛経変、北壁の東面に薬師経変と報恩経変が並図されるが、いずれも諸仏の浄上を類似の構図で描き、内容的な変化には乏しい。本図の観経変相図は、周縁部を欠き阿弥陀浄土景観のみで、盛唐時代第二二〇窟北壁観経変相図中台部分のような浄土図を縦長画面に構成した観があり、この窟自体が小規模であることもあって巧妙細緻に描かれている。
中尊の手前には舞楽段が設けられ、中央に一体の舞音薩が天衣を翻して舞い踊る様は、本窟の四幅の経変に共通するものであるが、とりわけ本図の舞菩薩は背後に回した琵琶を弾じながら舞う、″反弾″と呼ばれる絶技を優雅に演じて見事である。その躍動する姿態とともに、弦を押さえる左手の細やかな動きや、ステップを踏む両足の親指を反らせるなど、細部に至るまで緩みない描写も見逃せない。両側の奏楽の菩薩は向かって左から、拍板、横笛、鶏婁鼓と鼗鼓、箜篌、阮咸、琵琶を奏で、その下方でも笙、篳篥等の楽器が演秦されている。
経典類には殆ど記されていない奏楽舞踊の様を浄上の歓楽の中心として描くのは、西域をはじめ諸民族の盛んな音楽を取り入れ大成した隋唐以来の中国ならではのことであり、本図はその典雅な響きと舞を見聞させてくれるような好作例である。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念
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