考古用語辞典 A-Words

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莫高窟第三六窟前室北側  2008年09月21日(日)更新

莫高窟第三六窟前室北側
【和:ばっこうくつだい三六くつぜんしつたがわ
【中:Mo gao ku di 36 ku qian shi bei ce
隋・唐・五代|彫刻・書画>莫高窟第三六窟前室北側

龍王礼仏図部分(模写 史韋湘、霍熙亮)
紙本着色
縦231.0 横214.0
五代
 「龍王礼仏」は五代に出現した新しいテーマで、中では、莫高窟第三六窟のものが保存状態もよく代表作とされている。この窟は、もともと第三五窟の前室であり、西壁の中央に第三五窟の甬道口が開かれ、その南北に八大龍王およびその眷属が、二手に分かれ門口方向へと馳せ参ずる様子が描かれている。本図はその南側壁画で、先頭の龍王一体の大部分を欠くが、他の三龍王、三龍女等が広闊な海上を浮遊してまさに眼前に迫り来る様を表わす。敦煌出土文書P・三五六四『莫高窟功徳記』には「出門両頬に八大龍王を絵く、……其れ画は乃ち龍王海に在り」とあり、内容的に本壁画と一致することから、同記が記すように本壁画は左馬歩都虞侯・梁幸徳父子等の発願によるもので、制作期は同じくいくつかの敦煌出土文書の考察により清泰年間(九三四ー九三六)とされている。龍王は人面人身龍尾で、天部などと共通する武人的風貌の中にも敬虔な表情をたたえ、大袖の裾襦を翻し、付き従う龍女などと共に的確な描線によって力強く、あるいは瀟洒に描き出され、生動感に富む。墨の渦巻きや波文様に白緑を重ねた海面に怪魚が頭をもたげ、火焔宝珠が飛び、海辺の景も奇趣に富んで、幻想的な画面を一層にぎやかなものにしている。
前記功徳記には、これら龍王は「甘露を灑ぎて時に応じ、風雨を行いて節に順う」ともあることから、この画題の流行は、現世的願望を多分に反映したものといえよう。なお本図中の短冊形には題記が見られないが、反対側の龍王・龍女には「大力龍王」、「大吼龍王」、「蓮華龍王」等の標題がある。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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