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天王像 2008年09月25日(木)更新
塑造彩色
高81.0
中唐
唐代以降の莫高窟西壁龕内、仏菩薩、比丘像の左右に、あるいは龕外左右の壇上にしばしば一対の塑造天王像が配された。この天王像もその一つであったと思われる。腰を左にひねりに体を右に傾けた姿勢は、他の遺例との比較から、 一対の内、向って左側におかれたものであろう。左前膊とな足先を欠失するほか、比較的保存がよい。この像のように兜の下縁が反転して上方に折り返り、腹部の甲の上縁がほぼ水平となってそれが胸甲の上にかぶさり、また腰帯下に垂れる防具(鶻尾)が腰廻りを花形にめぐる形は、初唐期に完成した唐式の甲の形式(たとえば龍門奉先寺洞の天王像に典型が見られる)を基本にしながらまた一段と展開した形式で、中原では盛唐の八世紀半ばの仏像や俑に始まり、莫高窟でもやはり盛唐後期の第一九四窟の天王像以降にあらわれる。作風上、本像に近いものとして中唐期(七八一~八四八)の第一五九窟の天王像がある。これに近い時期の作と考えてよかろう。
表面の彩色ではいま弁柄、白、白緑、白群がめだち、さわやかな色感を感じさせる。紫色に見えるのは丹の変色であろう。瞳は緑青であるが、このような緑の目はこの時期以降の天王像や羅漢像にしばしば見えるところで、胡人の相をあらわしたものと思われる。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念
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