考古用語辞典 A-Words

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顔料碗  2008年09月26日(金)更新

顔料碗
【和:がんりょうわん
【中:Yan liao wan
隋・唐・五代|陶磁器>顔料碗


口径9.6 底径5.6 高3.9
晩唐~五代
 この碗は第四八七窟の窟内から出土した。泥質の灰陶で、文様は施さず、広口、胴浅、平底のうつわである。大きく破損している。碗の内側には少量の緑色顔料が残存している。この種の器型の陶碗は莫高窟南区窟前殿堂遺址から多く出土している。油の染みたものは燈明碗として用いたのであろう。顔料が残留しているこの碗は、色の調合に用いたものであろう。第四八七窟は北魏の開鑿になるもので、もともとの洞窟の底面は現在の底面よりは下に位置していた。窟内外の土堆積の具合や所在する位置から判断すると、この窟は底面がかなり低いところにあったうえに河水の浸食などによって唐時代にはすでに廃棄され、のちに画工や塑造の工人の居住や制作のための″作坊″に変わったものと思われる。この顔料碗と同じ層から出土した遺物の中には、このほかに絵画の工具、生活用品、唐の乾元元年(七五八)鋳造の″乾元重宝″などがある。この層の上の堆積層は宋代よりも早い時代のものであることは疑いなく、したがって、この顔料碗をはじめとする同じ層の出土遺品はいずれも晩唐、五代のものであると考えられる。顔料碗の出土は、古代の画工が使用していた絵画工具の状況を理解する上で重要な価値を持っている。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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