考古用語辞典 A-Words

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天馬磚  2008年09月26日(金)更新

天馬磚
【和:てんばせん
【中:Tian ma zhuan
隋・唐・五代|彫刻・書画>天馬磚

縦20.0 横42.0 厚10.0

 この柄は三危山老君堂塔廟遺址から出土した。灰色、長方形の磚である。表される天馬の姿は、馬頭に鹿の角が生え、鹿の首、大の体、獅子の尾を持つ。また前後の足には忍冬文に似た翼が付き、首に長い帯を捲いている。頭を上げ、蹄(ひづめ)を勇み立たせるポーズ、力強く精悍な体躯、そして風を受けて翻る尻尾と首の長い帯。これらが、勢い良く天空を駆ける天馬の雄姿を見事に表現している。
ここに表される天馬の姿は、古代の文献の記載ともよく一致している。例えば『山海経』巻三北山経には、「馬成の山というところ、山には文石多く、山の北には金・玉が多い。獣がいる。そのすがたは、白い犬のようで頭が黒く、人を見ると飛ぶ。その名は天馬。鳴くときには自分の名を呼ぶ。」とある。また『水経注』巻二には、「漢の武帝は大宛国に天馬が産すると聞き、李広利を派遣して大宛国を伐たせ、初めてこの馬を手に入れ、角があるのに驚いた。だから漢の天馬の歌に、″天馬来たる。草なをへて。千里をすぎ、東道を巡る。″と詠う。胡馬は北風の思いにかられ、ついに手綱を切って絆を絶ち、首を高くあげて駆け、夜明けに京城を発し、朝食の時刻にはすでに敦煌の北の塞外に達し、長く鳴いて去った。」とある。このほか、敦煌の渥洼池(現在の南湖郷黄水)に天馬が現れたので、網で捉え、これを漢の武帝に献上したという伝説(南朝宋・裴駰『史記集解しは、敦煌で長く語り継がれた物語である。天馬伝説のある地域では、天馬を得意とする地元の芸術家によって、地方的特色を濃厚に備え、想像力と創造性に満ち、一身に様々な獣の特徴を持つという超現実的な姿を与えられた天馬の形象が創り出されたのであった。この大馬磚は、敦煌の古代の芸術家たちの感情と智恵を、よく反映したものなのである。出所:『砂漠の美術館-永遠なる敦煌』中国敦煌研究院設立50周年記念

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