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蓮文高脚碗 2009年2月2日更新
【和:はすもんこうきゃくわん】 |
【中:Lian wen gao jiao wan】 |
隋・唐・五代|金銀・玉器|>蓮文高脚碗 |
一九八七年 陝西省扶風県法門寺塔基地宮(咸通一五年〈八七四〉)出土
銀、鍛造・鍍金
高八・〇、口径一六・〇、底径(最大)一一.四
唐 九世紀
陝西・法門寺博物館
器が蓮華、高台が蓮葉にみたてられるという、寺院への奉納品にふさわしい意匠である。同形式の碗がもう一点あり、「衣物帳」に記す遍覚大師智慧輪の奉納品のうち、「銀閼伽花水椀一対」に該当すると考えられる。この記事や、器の形姿からすると、水を容れて花を浮かせて供えた供養具の一種と推測されよう。智慧輪は、当時の密教界の権威で、長安大興善寺に住し、人中九年(八五五)に同寺を訪れた日本僧・円珍に、密教の奥義を伝授したことでも知られている。
器は、側面に上下二重の蓮弁帯が打出され、内底に蓮蕊と蓮托が線刻され、全体で蓮華を形作る。蓮葉形の高台は、葉の外形と葉脈が刻出されて、その葉の間には魚々子地に蓮茎らしき文様も刻み出されている。器と高台は、別々に鍛造された後、溶接されたものである。
底裏に、左記のような銘文が刻出され、それによれば、本器は、もともと監察御史(刑罰などをつかさどる部署の長官)の安淑という人物が布施したもので、それを智慧輪が法門寺へ奉納する品として転用したものと察せられる。また、高台畳つきには、梵語らしき墨書もある。制作されてからの経緯や、当時の密教の情勢など、この遺例一つにも、時の転変の一端が示唆されていることは興味深い。
【銘文】「衙内都虞候兼/押衙監察御史/安淑布施永為/供養」(底裏刻銘)出所:唐の女帝・則天武后とその時代展1998
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