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法華経安楽行品(久能寺経) 2009年3月13日更新
【和:ほけきょうあんらくぎょうひん】 |
【中:Fa hua jing an le xing ping】 |
彫刻・書画|>法華経安楽行品(久能寺経) |
三巻のうち一巻
彩箋墨書
縦二六・一 横一七○・ニ
平安時代・十二世紀
この「久能寺経」は永治二年(一一四二)二月、待賢門院(鳥羽法皇中宮藤原璋子)四十二歳の出家に際して、鳥羽法皇、美福門院(皇后藤原得子)をはじめ近臣や女房らが加わった逆修供養(生前に自らの死後の冥福を祈って仏事を行なうこと)のために作られたと推定される。平安時代後期の代表的な装飾経である。各巻末に結縁者の名が記されており、各巻で分担執筆した寄合書きと知られ、その結縁の実態を伝えており注目される。「譬喩品」は待賢門院自らの結縁になるもので、その写経の筆者は女院近侍の女房中納言の弟で、当代屈指の能書藤原定信(一〇八八~一一五四-?)である。もと『法華経』二十八品に、開結両経を加えた三十巻か、あるいは『阿弥陀経』『般若心経』を加えた三十二巻本であったと想定される。一品経の確認される最古の遺品としても貴重である。
『法華経』信仰と浄土教、末法思想のもとに、仏の加護を得たいという宮廷貴族の真摯な気持ちを反映したものである。 「化城喩品」には波の文様を雲母刷りで施し、天地に金の切箔や砂子を全体に散らし、茶褐色のぼかしと銀の霞みをところどころに施している。
「安楽行品」には茶褐色のばかしを施し、金銀の切箔や砂子を撒き、天地に銀の霞みと金銀泥で蓮や唐草などの文様を施している。穏やかで優美な行書気味の書は「久能寺経」の中でもきわめて能書の手になるものとして注目される。
ほかにも巻ごとにさまざまに装飾されている。鉄舟寺の前身である久能寺に伝来したことからこの名で呼ばれ、現在、静岡の鉄舟寺の十九巻、東京国立博物館の三巻ほか、諸家に分蔵されている。 出所:書の至宝-日本と中国2006
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