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古今和歌集(元永本) 2009年3月16日更新

古今和歌集(元永本)
【和:こきんわかしゅう
【中:Gu jin he ge ji
彫刻・書画|>古今和歌集(元永本)

藤原定実筆
二冊
彩箋墨書
各縦二一・一 横一五・五
平安時代・十二世紀
東京国立博物館(三井高大氏寄贈)
『古今和歌集』の仮名序および二十巻すべてを完存する最古の写本である。料紙を五枚ごとに折って紐で綴じた冊子本で、上下二冊が原装のままで伝わっている。上巻の末尾に、本文と同年で「元永三年七月廿四日」と奥書が加えられており、その年号に因んで元永本の名で呼ばれる。
料紙は、紫・赤・線・黄・茶・白など色とりどりで、濃から淡、淡から濃へと色を連ねるように用いられている。その表面は貝殻を潰して微細にした胡粉を料紙に塗って唐草・菱文様・亀甲などの型文様を雲母で刷り出したり、摩擦によって文様をあらわす空摺の技法を用いた日本製の唐紙である。裏面も金銀の切箔・野毛・砂子などを撒いて華麗に装飾される。
その美しい料紙に、豊潤な線や繊細な線を駆使した変化に富んだ書風で揮毫をしている。また、おおむね和歌を二行に書写するが、末尾に行くに従い三行にあるいは散らし書きにしており、料紙との調和の妙はその筆者の能書ぶりを十分に発揮したものである。この筆者は「本願寺本三十六人家集」(貫之集上・人麿集、京都・西本願寺)」「巻子本古今和歌集序」(東京・大倉集古館)など一群の同筆遺品を遺しており、藤原行成(九七二―一〇二七)の曾孫定実(?~一〇七七~一 一一九―?)の筆とする説が有力である。もと加賀前田家に伝来したが、三井高夫氏より東京国立博物館に寄贈された。この元永本も、王朝貴族が身のまわりにおいて鑑賞する調度用の手本として作られたものであった。筆と料紙が織りなす美しさは、王朝貴族の美意識を反映したもので、美術史ならびに国文学史においてもきわめて貴重な遺品といえよう。出所:書の至宝-日本と中国2006
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