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散書書巻(金銀泥下絵料紙) 2009年3月17日更新

散書書巻(金銀泥下絵料紙)
【和:ちらしがきしょかん
【中:San shu shu juan
彫刻・書画|>散書書巻(金銀泥下絵料紙)

伝世尊寺行能筆
一番
彩箋墨書
縦二三・三 全長四一四・一
鎌倉―南北朝時代・十四世紀
この書巻は、金銀泥で花や下弦の月、韋などを描き、葦手の図様などをまじえて四季の景物を描き、金銀の切箔・野毛・砂子などの装飾を施した美麗な料紙を用いている。さまざまな散らしを駆使して、漢字と仮名をまじえながら比較的速い運筆で揮毫される。随筆風に和歌をまじえて歌論を展開しているが、いまその出典を明らかにすることはできない。
料紙と書が見事な調和をみせており、和様の流麗で美しい書から筆者の能書ぶりがうかがえる。鎌倉時代初めから半ばに宮廷書壇において活躍した能書で、藤原行成(九七二~一〇二七)を始祖とする世尊寺家の八代行能(一一七九―一二五一―?)と伝えるが確証はなく、料紙や書風から十四世紀に活躍した伏見院流の能書の一人と推定される。これは、文字と仮名の連綿や散らし、料紙装飾の調和をみせた貴重な遺品である。
華麗な見返しは、鎌倉時代初期と推定される装飾経の見返しであり、本文との関連はなく、のちにこれを所持した人が、たまたま入手した装飾経の見返しを転用したものであろう。これは、『法華経』の「提婆達多品」の経意絵である。金銀泥で「採菓汲水」と水辺の岩に葦手絵の技法を用いて、この場面を表現する。さらに、薪を拾い、水を汲む姿を絵画化し、手前と背後には松と桜、遠山には杉。金銀に朱と茶、群青に緑青を用いて大和絵の手法で描いている。 出所:書の至宝-日本と中国2006
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