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澄泥硯 2009年5月28日更新
中国では漢―六朝時代から陶瓷硯を作った。出土硯の中には、日常使用したと思われるものと真新しいものとある。また瓦や塼には焼かない陽干しのものもある。この中間的な製法が澄泥硯である。 宋の蘇易簡(九五七ー九九五)の著『文房四譜』にはまず河中の墐泥を取り、水中でもみ、甕の中に貯える。
目の細かい絹袋に入れて清水で濾過する。これを取り出し乾かして黄丹団を加えてよくもむ。型に入れて成形し、竹刀や力で彫琢し、稲糠と黄牛糞の中で乾かす。それを窖入れて焼く。その後で黒蠟に入れ、米酢で数回蒸して仕上げる。と言っている。澄泥硯がすべてこんな技法で作られたかどうか疑問であるが、 一方法を示していることは確かである。
唐の柳公権が硯を評して「青州の石末を第一とする」と言っているが、これは石末澄泥硯を指しているのであろう。宋の欧陽脩も虢州の澄泥を唐代の人は第一と評していると言っている。乾隆帝の『西清硯譜』にも唐・宋代の澄泥硯が三十面ぐらい収録されているから、唐・宋代には盛んに作られたものと思われる。元―明代のものは少ないが、時代が下っているので収録しなかったのか、雅致が乏しかったからであろう。現在、市場で見る澄泥硯は宋まで遡るものはなく、まれに明代のもの、多くは清朝時代の製と思われる。
旧澄泥硯と称する鱔魚黄、蟹殻青のもので(清朝後期の作であろう)自然の岩石と思われるものを見かけるようになった。岩肌を残した硯を過眼している。
種類
鱔魚黄:黄色、黯黄色、陶磁の蕎麦釉のような細い斑点のあるものもある。蟹殻青:青黒色。灰蒼色。
暇頭紅: 赤紅色、紅黄色、紅青色、紅絹のうちの三種又は二種が層をなしていることがある。
玫瑰紫: 玫瑰ははまなす。はまなすに似たくすんだ紫色。
魚肚白:紅白色。
緑豆沙:くすんだ緑色。黄色の上に小さな斑点がある。
豆弁砂:黄色の上に大きい斑点のあるもの。
石末澄泥:唐の柳公権が称揚した。山東省濰州(青州)の出から出る砕石を粉末にして焼いて作った。宋の唐詢はあまりほめていない。
主産地
濰州(河南省)鉅鹿(河北省)青川(山東省)絳州(山西省)鄂川(湖北省)通州(四川省)宝山(江蘇省)澄泥硯は彫琢がやさしいのか巧緻な作品が多い。量の最も多いのが鱔魚黄で蟹殻青がこれに続く。以下の硯は極くまれである。出所:『文房古玩事典』宇野雪村
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