考古用語辞典 A-Words

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筆架 2009年7月11日更新

筆架

【和:ひっか
【中:Bi jia
彫刻・書画|基本用語|>筆架

筆を使用後、洗って掛けて置く「筆掛け」、 書いた後そのまま机上に枕にして倒して置く「筆架」、 筆架のうち枕の部分が同一の高さで四個並んでいるものを「筆牀」と言っている。使用後の洗った筆を倒して入れて置く盆状の器を「筆船」という。ここではこれらを総称して筆架として扱う。筆格という呼称もある。文房清玩の具として古くから愛玩されているのは、使った筆を一時休息させるためにそのまま、鋒のつけ根の部分を枕にあてて置く筆架(牀)が最も多いからである。
現代の会場芸術の盛行で超大挙が日常茶飯に使われるようになったが、昔は小学、中卒ぐらいが机辺の友だった。従って、筆架には大きいものはない。径一センチ程の半円―浅円形の窪みを作り、横に連ねた貌であった。北の高さに限度があるように筆架にも背の高いものはない。硯の横に置くので幅にも限度ができる。
最も多いのが出字形といわれる二つの凹所のある筆架である。 古くても明末ぐらいのものであろうが、二〇〇〇年を経て、尚且つどこかで中山王墓出土の山形銅器などと結びついていることを思わせるのである。中央が圭形にる。突起し、左右が弧形を描いて三叉槍のような形をせる。

文房清玩の一分野に「怪石」がある。奇岩怪石の状を小、中形にして机上で愛玩し、大石は園林に置いた。この小形を筆架と兼用したものがある。端渓石、湖南省産石、山東省産石などで彫琢して細工をし、筆架を目的として作ったものもある。
陶磁
山字形のものが多い。三山、五山の二種にしぼれる。三山は二本、五山は四本の筆がねかせ得る。染付、赤絵、哥窯など過眼している。 多目的使用のものとして、筆立て、筆架、水滴を兼ねたもの筆立て、筆架、水注を兼ねたものなどがある。

古銅のものであるがかなり凝っている。それだけにまた凝りすぎのあざとさがあらわでついていけない感じもつきまとう。霊芝、蓬莱山などを象徴しているのであろう。古銅の水盂で水盂の主目的とは離れながら冗舌と思われる茎葉をわざわど突起させている器がある。筆架の目的が副次的に働き、こんな形を作らせたのではなかろうか。後考にまちたい。

古代の玉は装身力具が多い。その古代工具の中に帯ひも止めに使った帯鈎がある。この古玉を筆架に転用する人がいたのだろう。帯鈎の清朝代製品はかなり多い。古玉とは比較にならぬまでも、それを筆架として転用できることを発見し、身をもってその製作に参画した人をほめたたえなければならない。新しい玉(清朝代)の彫鏤は乾隆時代に脚光を浴びる。螭龍、獅子など筆架として作られたもの、書鎮を兼ねた筆架のようなものがある。それぞれにかわいらしく、こんな小器にまで愛情をこめて作った工匠の心根がいじらしく、手に取るごとにその脈博が伝わってくるようで楽しいものである。珊瑚、瑪瑙、玳瑁などのものがある。 出所:『文房古玩事典』宇野雪村
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