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墨牀 2009年7月11日更新
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牀は床であり、寝台の意味もある。墨台、墨架ともいう。墨を磨って磨り口が濡れているとき、机上の汚れを防ぐために載せて置く台である。
墨は磨った後、磨り口の水分は紙でよって取る方がよい。良い墨程気配りが必要である。明代の羅小華、汪中山、程君房、方于魯などの径一五センチメートルもあるような大墨は磨るのも大変だったろうが(それだけ大きな硯が必要である)後始末はさらに難しかったろう。恐らく墨床などは使わなかったと思われる。
墨台を必要としたのは日常書写に使用する小墨(十六丁形以下)のためのものではなかったろうか。墨床といわれるものに大形のものを見かけないからである。ついでに中国の墨の規準は時代によって差があるが、清代は
一觔(斤)六○○グラム 一丁形
八両 三〇〇グラム ニ丁形
四両 一五〇グラム 四丁形
二両 七五グラム 八丁形
一両 三七・五グラム 十六丁形
半両 一八・七五グラム 三十ニ丁形
と呼んだ。これは型に入れるときの墨量のことで、乾燥させて製品になると八割ぐらいの重さになる。
和墨は一丁形は五匁(約一九グラム)で唐墨とは反対に二丁形、三丁形と重くなっていく。
唐墨は膠がもろいので水につかることが長いと膨張し、乾いても墨にゆるみができたり、ひびわれができやすい。
和墨は膠がないので、このおそれは少ない。磨墨する時、唐墨は斜めに倒して磨るのがよい。しばらく磨って一裏返しにして磨る。磨り口がΛの形になる。和墨は垂直に立てて磨ってもよい。
磨っている時に電話がかかってきたりして破の上に墨を立てたまま席を離れると、席に戻った時に墨が硯にくっついて離れなくなっている、といったようなことはなく経験するのではないか。これを無理に離そうとして鉄槌でたたいたりすると硯を傷つけてしまう。絶対につつしまなければいけない。端渓などの良硯では現を台なしにしてしまう懼れがある。墨を無駄にする覚悟で湯の中にしばらくつけておくことである。石が暖まってくると墨の膠がとけてうまく離れる。
磨墨のマナーとして墨は磨っている時以外は硯の上に置かないという習慣を身につけることである。唐墨を斜めに磨るのは唐墨の性質を弁えた上での使用法であるが、墨を硯の上に残さない習慣を養うための最良の方法でもある。
磨墨中に中座する時、墨床が大きな役目を果すのであるが、墨台を常用している人は案外少ないようである。
墨台の効用を見直してほしいものである。墨台の古い例としては正倉院に奈良時代の宝相華文透し彫りの金銅製のものが蔵されている。
玉
玉は濡れた墨を置いてついても離れやすく、器に傷をつけない長所がある。長方形の台を作るが、几案形、書巻形など工夫をこらしたものがある。白玉、黄玉、青玉、岫玉、翡翠、琥珀、瑪瑙などがある。
陶磁
染付(藍彩)、 赤絵、 粉彩などがあるが全形陶磁のものは清代の作が多い。陶片をいつくしんで紫檀材などの台の上に嵌めこんだものもある。
金属
古銅のもの、七宝、景泰藍のものなどがある。古銅のものは台を透し彫りにしたものもある。出所:『文房古玩事典』宇野雪村
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