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阿羅漢アベーダ 2009年9月25日更新
チベット中央部
16世紀前半
真鍮
高16.5cm
エッセン・コレクション
伝説的に名高い阿羅漢の、この極めて印象的な彫刻は、当初は手に持っている布の上に覚りの仏塔をのせていた。それは、釈迦牟尼仏陀が阿羅漢アベーダに、ヒマラヤの雪山に野生の人食い鬼に教えを説きに入ろうとした際に与えたものといわれている。
本像では、阿羅漢アベーダはリラックスしたポーズで椅子に座り、蓮の模様のある僧衣を着ている姿である。傍らに2人の人物が小さくあらわされているが、左はターバンからわかるように王、右は陽気に踊っている老人である。それぞれ蓮華上に立っているが、それは、彼等が無執着と精神の清浄を達成したということを意味する。王は献納物の曼荼羅を差し出しているが、その頂部は燃え立っているような真珠でおおわれている。
チベット美術における阿羅漢の表現は、しばしば中国様式の要素がみられるが、それはおそらく、中国の皇帝によって阿羅漢が中国に招かれたということ、そしてそこで暮らしている間に彼等の肖像画が描かれたという伝承に由来するのであろう。チベットの仏師は、この伝説を念頭において、たとえ阿羅漢は仏陀の存命中の時代に生き、仏陀と同じく北インドからやって来たのが事実であっても、中国人のように阿羅漢を描いてきたのであろう。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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