考古用語辞典 A-Words

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緑ターラー 2009年9月27日更新

緑ターラー

【和:
【中:
面白テーマ|彫刻・書画|>緑ターラー

チベット・中国様式
17世紀中期
真鍮鍍金;貴石嵌入、彩色
高36.8cm
ロイヤル・オンタリオ美術館
緑クーラーは、衆生を苦しみから救う、八難からの不思議な救済者として崇敬されている。彼女ば仏陀の三生の母″(クーラー・タントラ)という名誉を与えられている。この彫像は、機敏に宙を舞うようにあらわされており、頭を少しかしげ、片方の足を蓮華座に引き上げて座り、もう片方を横に傾けて、通例の通り、ゆったりした遊戯坐をとっている。右手は、優雅にのばし、掌は与願印を結び、青蓮華の茎を持っている。左手には別の蓮華を持ち、3本の指を上の方にのばすことによって三宝の守護の身振り(施無畏印)を作っている。2本の花が、写実的に造形された葉や花弁を贅沢につけて、風に舞うように腕を枠どっている。意匠を凝らした瓔珞の宝石と、軽くねじれた条帛の金属製の堅い動きが、しなやかなほっそりとした体に精力を与え、彼女の活発な性質を表現している。当初から埋め込まれている宝石が2、3個今も残っており、金銅の表面がつくっている豊かな表情に、色のポイントを加えている。
 このスタイルが16世紀後期から17世紀前期の、北東チベットのアムド地方、現在の中国青海省のクンブム寺にある、木製の仏像といくらかの関係があるとしても、本像は、17世紀中期の中国の彫刻により近い、飾りの多い派手なスタイルを示している。明るく動きの豊かな線、柔らかい生地、そして甘く柔和な顔は、この緑クーラーの彫刻が、おそらく、チベットの図像と様式の伝統にのっとって作られた中国の作品であることを示唆しているのである。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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