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観音 2009年9月28日更新
おそらくチベット中央部
12世紀
頁鍮;金泥、彩色
高34.8cm
ツィンマーマン・ファミリー・コレクシーlン
この慈悲の菩薩、観音像は、インドの仏像のパーラ朝様式に非常に近い。全部があらわになった体は、若者の豊満で完璧な均整のとれたプロポーションをあらわしている。重々しく注意深く刻まれた装身具が、滑らかで物憂い体に、際立って見える。その顔は、後に金泥が施されているが、これはチベットの普通の慣習である。この金泥は金粉に混ぜものをしたものである。もろくてすぐ酸化するので、しばしば塗り直す必要がある。顔の造作が普通その上に描かれている。
観音の剃髪した頭、斜めの眉、曲線を描く少し開き気味の目、シャープな鼻、そして下唇をとがらせた口全体が、パーラ朝の彫刻の様式に典型的なものである。観音は、カーブした蓮華の茎を持っているが、花には蕾のもの、満開のもの、そしてすでに閉じたものとある(それは、過去、現在そして未来にわたる仏陀の慈悲を象徴している)。長い瓔珞が、美しい曲線を描いて腰帯の上にかかっている。青色に塗られた、豊かな巻き毛が頭に積み重なり
(天辺には蓮の蕾がついている)、豊かにカールして流れるように肩にさらりと垂れている。ここでの理想は、完全に人間を自然にあらわすことなのであって、神秘的な奇妙さや西チベットの像にみるような屈強な力ではない。そのようにまったく離れた異なった理想が、同時期にあらわれたのは、主に、地域によって好みが違ったということと、様式上の系統を異にした結果であろう。
この像のスタイルは、10世紀から12世紀前期のインドのパーラ朝時代の像、特にナーランダ地方の作と関係がある。パーラの伝統は、チベット美術の初期、特に中央部に、影響の跡を残したのである。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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