六字観音　2009年9月30日更新

チベット中央部または東チベット
17世紀
綿布着色
90.2×61.3cm
個人蔵
本図では、四臂六字(シャッドアクシャリ)が､衆生を救済している八難の場面とともにあらわされている。場面は生き生きと魅力的に描かれており、それぞれはっきりと菩薩立像を伴っている。時計回りに、右七から､獅子と慢心、蛇と嫉妬、六つの毒と強欲､強盗と邪見(右下)、野生の象(左下)、火事と憎悪、悪魔と疑惑、そして左上の角に、洪水と貪欲を救っている。中央の縦軸上には、三つの尊像、上にヴァジュラダラ執金剛、中央に六字、そして下にパドマサンバヴアがおり、それぞれ、真実、至福をもたらす、そして覚りの境地をあらわしている。蓮の花をもつ一組の菩薩立像が、主尊に伴っている。 　これは､赤い地のタンカで､全体的に金を用い、黄色やオレンジ、青、そして白の彩色を施した、魅力的な作例である。このスタイルは作品は、おそらくこのタンカがダライラマ5世の時代の作であることを示唆している。 　背景にある銘文は次のように読める。｢この気高く八難から救済する観音のタンカは､偉大なるラトナ･リンパの長男、ツェ･ワン･ダクパの、素晴らしい、間違いのない作品である。出所：天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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