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弥勒菩薩 2009年10月1日更新
チベット中央部
16世紀
綿布行色
88.9×68.6cm
シェリー&ドナルド・ルビン・コレクション
このチャーミングな姿の未来仏は、その名の意味を友愛(慈から生じたもの)といい、様武化された表現がなされた、兜率天にある妙法を教える宮殿に座している。宝冠にある宝塔により弥勒と判断されるのだが、水瓶を安じた蓮華が左肩先にあり(その水瓶は、釈迦牟尼仏陀により、人間世界に下生して仏となるべき予告、授記を与えられたことをあらわしている)、ケーサラの木(弥勒仏と関係がある木)を安じた蓮華が、右肩先にある。濃い緑色と青色の光背が、体格のよい像の強い背地となっていて、宝冠の、妖精の動物や葡萄の葉などが見られる、愛らしい細部描写を引き立てている。先行する形式を踏襲したものから新しく自由な形をとるものまですべてのものが、おそらく15世紀後期から16世紀のメンリ様式とキェンリ様式の発展から影響を受けている。守護尊やラマのヴァラエティは、奥行の表現がある地面に、多かれ少なかれ固定されているように見え、像容には16世紀の中央部の作例がいくらか反映しはじめているのがうかがわれる。そのほかの像は、ピンクと緑の雲にのって濃い青色の空に、浮かんでいる。
弥勒の上の左右には、除蓋障から虚空蔵まで、八大菩薩がおり、左右の二段目には、文殊や弥勒の別の形のものも含んでいる。弥勒の下には、六飾二勝がいる。右には、4人のインド人の哲学者であり聖人である、無著、世親、グナプラバ、陳那、そして文殊の左下には、龍樹、聖提婆、シャークヤプラバ、ダルマキールティがいる。左のダルマキールティの下にはミラレパが座り、陳那の下には、ガムポパがいる。底辺に沿っては、左から右へ、施主、パドマサンバヴァ、シャーンタラクシタ、アティーシャ、ドムトゥン、そして銘文が読みにくいがあるラマ、そして黒い帽子をかぶっているので有名なカルマ派のラマである。一番下には、ほとんどが読みにくいが、銘文があって、一番最後の部分だけは次のように判読できる。「これは、ガワン・ナムグェルの霊的なインスピレーションを通じて委託されたもので………仏陀の世界に到達するために……」。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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