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毘沙門天 2009年10月4日更新
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チベット、中央部、おそらく西ツァン地方
1400年・頃
綿布行色
98.4×82.9cm
マイケル・マコーミック・コレクション
毘沙門天は、北方の守護者であり、富の神てあるが、彼の浄土、須弥山の中腹の宮殿の中にいる陽気な白い雪獅子に座っている。中層には、三つの尊像がみられ、上層の社には、3人のラマがいて、2人は黄色の帽子をかぶっている。宮殿の両側の突起部には、あわせて4体の守護尊が見られるが、これはおそらく四方を守っているということだろう。建物の周りには、簡潔な風景表現の中に、場面が配置されている。側面には、赤い光背を背負った8体の夜叉がいて、毘沙門天の眷属となっている。龍の小像が八神将のそれぞれに伴って現れ拝んでおり、地球の無尽蔵の宝物を守る8匹の龍を制御していることをあらわしている。その上の青い山と空には、2人の高貴な者の像がみられるが、左は、おそらくパドマサンバヴァで、マンダーラヴァーを従えており、右のは明妃のイェシェー・ツォギャルであり、両者とも傘の下に描かれている。上部の角には、素晴らしい色彩の優美な服をまとったラマの座像がみられるが(左上)、おそらくそれはサキャ派の高僧で、もう一方は、ヴィルーパらしき大成就者(右上)である。宮殿の屋根の近くでは、左の方では翼のある尊格が宝石の袋を空けており、そして右の方でガルーダも同様にしている。その左右には、小さな執余剛ヴァジュラダラと釈迦牟尼がいる。大きな宮殿のすぐ下の領域には、さまざまな尊格かおり、正面を向いているのが白と黒のクベーラで、男と、馬の頭をした緊那羅が、宮殿に供物を棒げている。この周りを、ドラマティックな場面が囲んでいる。左には、小さな2層の建物があり、2層目のところに、宝石の鉢を前に置いたラマ(おそらくシャーンタラクシタ)がいる。その反対側には、高貴な人物(おそらくティソン・デツェン王)が、富の瓶を持って木の下に座っている。彼等の間の下の方には、赤い帽子をかぶった貴人が馬の背にのって、仲間と3頭の馬とともに、土からラマまでの間の風景を横切っている。この場面とパドマサンバヴァと上記のイェシェー・ツォギャルの場面の取り合わせは、毘沙門大の富の礼讃に関連する物語、すなわち、学僧パドマがティソン・デツェンに、毘沙門天の特別な儀式を教えたら、王がサムイェ寺のあらゆる学問的宗教的活動に対する資金の供給について、大きな幸運を得たという内容を描写しているのであろう。このことから、後のチベットの支配者と寺の宗派は、教団を支えるために、毘沙門天をまつるようになったのである。
本タンカは、様式的に、西ツァン地方にあるチョナンとギャンの仏塔の壁画のいくつか、例えば、おそらく14世紀第4四半期頃の、チョナンの第九寺に見られる場面に関係があるものとして、特に重要である。確かに本タンカは、このスタイルをとる重要な作例であり、ツァン地方の西部と関連が深いと思われるのである。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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