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パドマサンバヴァ 2009年10月4日更新
西チベット
15世紀後半
真瑜;銅・銀像
高61cm
ツインマーマン・ファミリー・コレクンション
このパドマサンバヅァ(蓮華生)の彫師は、ダイナミックな量感や力強い線の美しさだけでなく、至高の神秘的な穏やかさがあるため、あらゆるチベット美術のなかで最も賢例な作品のひとつてある。慈悲深く思慮深い顔は、真剣に現世を見つめ、頭をわずかに傾け、繊細な顔貌、頭髪や装飾からその感受性があらわれている。背が高く細い体躯で、やや堅く身構え、像を普通より高くみせている。身にまとう衣の、薄く平行な波状の衣文は像に非現実的で明るいタッチを付加している。眼は銀を象嵌し、口には銅を象嵌し、やや様式化した一心不乱な顔貌に写実性を加えている。彼の通常の持物は、右手に金剛杵を持ち、三帰印の印相をとる。左手の上に??杯(カパーラ)を置き、禅定印の形をとる。左腕にカトゥヴァンガ杖(欠失)を固定するほぞがみられる。衣には打ち出された花の模様が施されるが、これらは15-16世紀の西チベット絵画に見られる。像の繊細なゆがみと、平板な衣?と堅い衣文も、またこの時代の西チベットのグゲ様式に関連づけられ、とりわけ15世紀後半に作られたツァパランの紅の寺の彫像にみられる。全体の様式の繊細さと形の神秘的な雰囲気も西チベット様式と大体合致する。
台座中央部側板には大きな金剛杵があり、その両側には四天王が2体ずつ配される。左から右に、多聞天(北方)、持国天(東方)、増長天(南方)、広目天(西方)の順になる。台座背面の下側の縁に銘文が記され「ナーモ、グル、ペーメ! ミワン・クンガ・ギャルポ王、偉大なるパドマサンバヴァの像を(発願した)。これは、拝する者の願いを成就するものである。仏教の法と僧に帰依するため、治世と臣下の運勢の拡大のため、特に父母の願いが満た
されるために。これは彼の純粋な人を思いやる意図のあらわれである。(部分的にかすれているが、銘文の要旨がわかる)」。ミワン・クンガ・ギャルポについては伝来不明だが、西チベットの地方小国のうちのひとつの地方支配者と思われる。
出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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