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ベクツェ 2009年10月8日更新
チベヅト中央部または東チベット
18世紀後期-19世紀前期
綿布着色
96.5×66cm
ツィンマーマン・ファミリー・コレクション
ベクツェはどう猛な忿怒形の護法尊でニンマ派とゲルク派に関連が深く、特にゲルク派ではダライラマ2世、3世、そしてとくに5世の時代に強い関係に発展した。黒い女尊ペンデン・ラモに関連して、ダライラマの主要な護法尊として1570年から登場する。ここではパドマサンバヴァとともにあらわされており、明らかにニンマ派に連なるものである。ベクツェはモンゴル起源でチベットの護法尊には後から加えられたものだと考えられてきた。しかし、エイミー・ヘラーは、モンゴルの護法尊よりも11世紀頃のチベット起源のほうが有力とする説を述べている。ベクツェはここでは通常といくぶん異なる姿であらわされている。緑の蛇を類に巻いた猛々しい桃色の馬に乗り、剣と臓物の入った髑髏杯を持つ。このタンカは恐らく18世紀後期から19世紀前期の頃の制作で、赤ベクツェが鎧と絹の衣をまとい、黒い煙を伴って疾走するところを描いたものであろう(ベクツェとは「鎖かたびら」の意)。同じく力強い眷属が彼の周囲にいる。五王が下方に、画面の右隅に、羅刹女の集団がいる。画面上端には、右から法王ソンツェン・ガンポがあらわされ、ヴァジュラキーラ父母仏が中央に、パドマサンバヴァが画面左にあらわされる。明るい緑色の風景は、17世紀から続いて発展してきた様式で、明るい着色は、この鮮やかで珍しいベクツェの描写が西チベット地域のものであることを示すものである。
出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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