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金剛手 2009年10月9日更新
チベット中央部、おそらくツァン地方
14世紀後半-15世紀前期
綿布着色
84×76.2cm
マイケル・マコーミック・コレクション
暗青色の障害を打ち払う者、金剛手は肥満した姿で橙色の虎皮と花柄の腰衣を着け、きれいな襞のついた天衣や衣の結紐をあらわし、宙に振り上げた金剛杵同様、精細な瓔珞の類を着ける。像は、光背の強い赤色の中に大きくあらわされ、光背は唐草文であらわされ、黒線で輪郭をとった様式化された火焔文で周囲を縁取る。張りのある肉付きのよい体格が金剛手の形態に丸みのある質感と量感が与えられている。大きな四角い顔の魅力ある細部は、鋭く繊細で脈動するような制作によって、生き物のような活力がある。画面の上方の両隅に三尊がそれぞれあらわされる。左が、大輪金剛手(マハーチャクラ・ヴァジュラパーニ)で脇が仏形像と阿?仏である。右は、金剛手で脇に仏形像と阿弥陀仏がいる。画面の上端と両端上方には、あでやかに着方をそれぞれ変えて衣を着るラマがあらわされる。その中にはサキャ派の系譜のラマが含まれ、このタンカの行者や寄進者が左下にあらわされる。両端下方には、赤い火焔光背を付けた主尊とは別の形態の金剛手が、下端にはさまざまな忿怒尊があらわされる。忿怒尊には白クーラー、緑ターラー、文殊、何種類かの不動、毘沙門天、大黒天、ラモ、ゴンポがあらわされる。
このタンカの様式は、14世紀前期のシャル寺の壁画より進んだ様式があらわれている。しかし、より形式化した15世紀の第2四半期のギャンツェのクンブム寺の壁画)よりも早い時期のものである。細部の美しさと、量感の表現は、このタンカとスピールマン・コレクションのヴィルーパ像とで近似している。この金剛手のタンカは、最も素晴らしいサキャ派の伝統のうちでも希有で素晴らしい作例であり、この時期のツァンの重要な壁画の伝統を反映している。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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