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ツォンカパ・ギャルツァブ、ケートゥプ 2009年10月24日更新
チベット中央部
18世紀後期
絹製タペストリー;アップリケ
214X144cm
ゥィリァム・M・ヒッチコック・コレクション
このタペストリーは、その大きさゆえにチベットのタペストリーの伝統の中で特殊な作例であり、さらに威厳ある熟達した優れた作例でもある。中尊は、ラマ、ツォンカパである。説法印を取りつつ、その両手にそれぞれ蓮茎を持ち、蓮華の上には智慧の剣と般若経の経典がのる。脇侍としてツォンカパの高弟であるギャルツァブとケートゥプが左右に描かれる。両面左上には牛頭四臂で歯をむいたヤマーンタカ像が描かれる。ヤマーンタカは、文殊菩薩の変化とされ、ツォンカパは文殊の生まれ変わりと考えられていた。右上には、宝冠赤色阿弥陀仏があり、不死の霊薬(甘露)の入った宝塔形の蓋の付いた鉢を持つ。左下は、六臂大黒天がいる。右下には文殊の護法尊であるヤマラージャがその妃チャームンディーを伴い、どう猛な水牛の上に立つ。
このタンカの裏面上部に大きな黄色の札があり銘文がみえる。作品の名称として「ラマ礼拝の絹のタンカ」とあり、17世紀に初代パンチェン・ラマによってはじめられた高名なラマを礼拝する儀式を執り行う際に用いられた礼拝像であったことがわかる。
さらに讃があり「この不可思議なるものは、高名なロサン・タクパとその息子の名によって飾られた。彼は、2代目の勝利者で、無上の救世主、第十天の主である弥勒の心より生じたものである。このタンカは大修行者(ゲッツゥル)ゲルク・チェタクによる水牛の年の夏期修養会の際に奉納された。この画の主尊を造像させる行いの利益が大きくなるように。彼が次に転生しても文殊ラマでなくなることがないように。彼が仏となれるように。すべての母として生けるものの無上の主となれるように。」 この優れた絹織物とアップリケによるタペストリーは、おそらく1793年に作られたものである。使われた織物を含む18世紀の他のタペストリーに同じような要素が見られる(「西蔵唐卡』)。様式的には、18世紀末の1780年没のパンチェン・ラマ3世のタンカに近い。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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