秘密集会阿閦金剛父母仏　2009年10月26日更新

チベット･中国様式
15または16世紀
青銅鍍金
高7lcm
サンフランシスコ･アジア美術館
約60cmほどの秘密集会像は、印象深い彫像である。明代のチベット・中国様式の典型的な落ちついた優雅さがある。
　秘密集会(グヒヤサマージャ)は、秘密の集会または集団(サンワ・ﾄﾞｩﾊﾟ)の意味である。チベットでは、秘密集会は、特にゲルク派で好まれ、経典の成立も古い時代である。８世紀に訳された｢秘密集会タントラ」は、チベット語に訳された経典のうちでも最も早いもののひとつである。ある伝承では、釈迦自身が覚りを開いた朝に、このタントラを宣告したという。別の伝承では、弥勒菩薩が兜率天上で、タントラを教え、インドの学者無著伽タントラのほかの神々のように、グフヤサマージャは、阿?仏との関連がある。『秘密集会タントラ』を含む多くの経典が、秘密集会を阿閦あるいは、阿閦金剛と呼んでいる。　秘密集会の身体は､暗青色である。三面あり、中央の面は青い忿怒相で､右面は白のおだやかな面相で､左面は赤である。彼は如来の金剛の身･口･意の主とみなされる。通常は､神妃スパルシャヴァジュラー(触金剛女)を抱擁する。女尊は、三面六臂で､初期の典籍の言葉にある｢妃の如く｣ある。スパルシャヴァジュラーは､歓喜して上方を向き、秘密集会の下向きの顔と向き合う。神妃は､穏やかな表情の相手と対照的に力と凶暴性を作り出している。
　｢同じ性質｣を持つ､対になる尊像は､似たような持物を持つ。この像では､持物は欠失しているが、容易に復元できる。中央部の左右の手には、金剛杵と金剛鈴を持ち、上の対の手は､法輪と宝珠をもち、下の対の手は蓮華と剣を持つ。金剛杵と金剛鈴は､他のもののうちでも、金剛界の仏である阿閦を象徴する。法輪は､〈大円鏡智〉における大日を象徴し、蓮は阿弥陀の標識である。宝珠は、おなじく平等性智の宝生を象徴し、剣は不空成就の成所作智を象徴する。このように秘密集会仏は､金剛界のすべての仏を象徴的に表現している。出所：天空の秘宝チベット密教美術展
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