考古用語辞典 A-Words

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十三尊ヤマーンタカ父母仏 2009年10月26日更新

十三尊ヤマーンタカ父母仏

【和:
【中:
面白テーマ|彫刻・書画|>十三尊ヤマーンタカ父母仏

チベット中央部、おそらくウ地方 17世紀後期一18世紀前期 綿布着色 152×122cm ツィンマーマン・ファミリー・コレクション 地平線をはっきりあらわさない群青色の空にとけ込むようにあらわされた薄緑色の地面の曖昧な形の背景に浮かぶように、十六足三十四?で水牛の頭を持つヤマーンタカ・ヴァジュラバイラヴァ(=死神を調伏する、金剛の恐ろしき者)である。もっとも力強い姿で薄青色の妃ヴァジュラヴェーターリー(金剛鬼母)を抱き、智慧と慈悲の結合を象徴させた至福の結合の姿をとる。強力な火焔の環に囲まれ、火焔は炎心が黄色で外側にむかって橙、赤と濃淡があり、縁を金色で飾る。足の下には人間や動物が巧みに描かれている。主尊は、その下方の周辺に、12対のさまざまな身色のヤマーンタカ父母仏を伴い、ヤマーンタカの曼荼羅のほかの十二尊をあらわしている。まず、四仏として、モーハ・ヤマーンタカ(大日のヤマーンタカヘの変化)、マッサルヤ・ヤマーンタカ(宝生)、ラーガ・ヤマーンタカ(阿弥陀)、イールシャー・ヤマーンタカ(不空成就)。つぎに夫を伴う四仏母で、チャルチカー、マーマキー、サラスヴァティー、ガウリー。そして、四守護尊で、ムドガラ・ヤマーンタカ、ダンダ・ヤマーンタカ、パドマ・ヤマーンタカ、カドガ・ヤマーンタカである。上方に、一面二?の青ヤマーンタカ父母仏が緑の雲に乗ってあらわされる。その脇にはジュニャーナ・ダーキニー(ヤマーンタカの教えを顕示する仏母)が左に、最初にジュニャーナ・ダーキニーの教えを受けた大成就者ラリタヴァジュラが右にいる。ラリタの隣には、剣と経本を持つツォンカパがあらわされ、ジュニャーナ・ダーキ二ーの隣にはラマがあらわされ(恐らくダライラマ5世)、説法印をとり、経本を持つ。宝珠が載った大きな鉢が葉状の蓮台の下に供えられている。蓮台に載る四つの髑髏杯が主尊の脇と下部に左右対称に配置される。  このすばらしいタンカは、この重要な尊像の現存作品の内でも、サイズの壮大さ、尊像の強烈な力、色彩の威力があり、最も壮観な作例のひとつである。力強さと大きさでは、そのほとんどが残念ながら失われてしまったチベット寺院の大壁画の表現と肩を並べるものである。様式的にはラサのデープン寺の壁画に近い。これはこの作品がこの地域の同じ時代のものである可能性をしめすものである。デープン寺壁画とこの作品はともに、単純で広く処理された形の力強さと強靭で太くて肥痩のない輪郭線を用いている。この線描の様式は、フォード・コレクションの1642年以前の作であるペンデン・ラモ像にみられる様式に由来するものである。このヤマーンタカ像も、ラサ地域で17世紀後半のダライラマ5世の時代に盛行した新メンリ様式から発展した作例であるといえる。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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