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ベクツェ 2009年10月29日更新
チベット
17世紀前期
真鍮;分けて鋳造、金泥、彩色
高24cm
エルミタージュ美術館、サンクトペテルブルク
ベクツェは、直訳すれば「鎖かたびら」の意で、あるいはベクツェチェン「鎖かたびらを着る者」ともいい、八大護法尊のひとりである。
この尊像が出現するのは16世紀後半のことで、八護法神のなかに最後に加わったもののようである。伝承によれば、ベクツェは元来、仏教伝来以前のモンゴルの神で、1575年のダライラマ3世ソナム・ギャツォのモンゴル訪問を阻止しようとした。ベクツェは伝来した仏教に調伏され、仏教の護法導となった。
チベットの文献でのこの神の記述は、ほとんど完全にこの尊像の図像と一致する。ベクツェは、人馬の血の湖の中にある山の頂上に立つと記される。左足で人間の死体を踏みつけ、右足で馬の死体を踏みつける。手足は細く短い。口を大きく開け端から生暖かい血が吹き出している。舌を巻き上げ、鋭い銅の牙をむきだす。眉と頭髪は、燃え立つような赤色をしている。三眼は、忿怒の目で仏法の敵を見据える。右手で火炎宝剣を天に振りかざす。左手に橙色の敵の心臓を口の近くで持ち、それと同時に弓矢をつかむ。左腕で、暗赤色絹のはためく幡の付いた槍のような珊瑚の杖を抱える。銅の胴甲を付け、赤絹の外衣を付け、茶色がかった牡山羊の皮の外套をまとう。50人の生首でできた首飾りをつけ、赤い皮の長靴で足を固め、像全体が紫の火焔光に包まれる。 出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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