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金剛薩埵 2009年11月2日更新
西チベットまたはチベット中央部
11ー12世紀
青銅;銅・銀象嵌、金泥、彩色
高73cm
A&J・スピールマン
この彫刻は、初期チベットの金剛薩埵像では最も美しいもののひとつで、この尊像の初期の作例に共通して見られる立ち姿である。金剛杵と金剛鈴を持つこの像は、さまざまな要素が複雑に魅惑的に組み合わされている。上半身の肉体はかなり筋肉がはっきりしているが、手足のほうは弱々しくおずおずしているように見える。結い上げられた髪の塊のため大きめに造られた顔は、慈悲深く、優しい表情をしている。大きく柔らかな顔だちは、1045年頃のシャル寺の初期の壁画の顔をどことなく思い出させる。衣裳や宝飾は思いのほか豪華であり、この彫刻を豊かなものにしている。また、いまだにぎこちなく不自然な縁飾りや、飾り帯、ベルト、天花などは人を魅惑する。布地のやや重たげな打ち出し模様は、下衣(ドーティ)の線模様を更に複雑にしている。下衣はU字型の狭い盛り上がった襞がくりかえされている。これはインド美術に見られるが、むしろ中国や中央アジア様式に典型的なものである。窮屈に折り曲げられた縁飾りは、チベット中央部の11-12世紀のタンカの多くの像に見られる、注目に値する特徴である。銀象嵌の非常に大きな眼、逞しいトルソ、背面の肉付けの簡略化、鋳造の品質などは、西チベットでの制作を示唆するが、11-12世紀頃の中央部での可能性のほうが高いと思われる。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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