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忿怒形金剛薩埵 2009年11月2日更新

忿怒形金剛薩埵

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面白テーマ|彫刻・書画|>忿怒形金剛薩埵

チベット中央部 15世紀前半またはそれ以前 綿布着色 57.2×44.5cm 個人蔵 このタンカは、仏陀あるいは菩薩の忿怒形金剛薩埵を描いた珍しいものである。この絵では羯磨杵と金剛鈴を持っている。姿は暗く、恐ろしいが、絵画自体は極めて明るい。それは、主尊の装飾の美しさと、背景の暗い青黒色と補い合う輝かしい金色と橙色によっている。明暗の微妙な色調は、とりわけ淡く半透明に表現された蓮華の花弁に見られる。金剛薩埋は、やや高めの位置に描かれ、わずかに凹んだ所にいるようにみえる。しかし、基本的には、インド・ネパール様式の伝統に則った左右対称で形式的な、あくまでも二次元性の強いものである。蔓に施されている巧みな色彩の変化は、淡い青緑色から黄色、橙色へと徐々に転調し、互いに交差した個所のものすごく繊細な小枝の花は、特に美しく際立った特徴である。同様な華麗さは、多彩で洗練された布地の文様にも言えるし、中尊のきらめく装飾具にも言える。けれども、金剛薩埵の眼と歯は他の何よりも強い輝きをもっている。  最上列の中央には、黄帽のラマ僧を横に従えた2人の大成就者がいる。上部(上から4段目まで)には、そのほかに無帽のラマ僧や大成就者が描かれている。金剛薩埵の大きな赤一色の火焔光背の左右に、少し隠れるように、文殊と金剛手の小さな像が見られる。上部と一番下の列に挟まれた中間部には、合わせて14の護法尊がいる。赤、黒、緑、白の忿怒尊で、男尊が10、女尊が4人である。トウッチは最下列のすぐ上の四女尊を、疫病を予防し、静める女尊、葉衣観音(パルナシャヴアリー)であるとしている。最下列は中央で蓮華の壺と茎で左右に分離されているが、左から右に、六臂大黒天、財宝神クベーラ、温和な白色の金剛薩埵、緑ターラー、仏頂尊勝母、右端がペンデン・ラモである。  いくつかの要素は、このタンカが、15世紀第2四半期ないし15世紀中期に、チベット中央部で造られたことを暗示している。様式的には、15世紀の高度に様式化されたネパール絵画のいくつかと15世紀第2四半期のギャンツェのクンブム寺の絵画に極めて近い。出所:天空の秘宝チベット密教美術展
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