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薬師 2009年11月3日更新
チベット中央部
14世紀
綿布着色
100.3×77.5cm
ツィンマーマン・ファミリー・コレクション
薬師仏は、左手に薬壺を載せ、下げた右手に3個の実を付けたミロバランの枝を持っている。薬師仏は、金の花模様の付いた立派な衣をまとっている。盛り上げられた金が、衣の縁や光背の金色の火炎を飾っている。薬師如来の白い身体(青であることのほうが多い)は、濃い緑や青の光背に対して鮮やかに際立っている。何本もの垂直線を刻んだ台座の背の楯は、早くも11-12世紀から繰り返し使われている形式のものである。同様に立っている2人の菩薩(おそらく左側が日光菩薩で、右側が月光菩薩だろう)は、透けた腰衣と垂直に下がったペンダントの付いた腰紐を身につけているが、これらもまたこれに先行する多くの作品に見られる要素である。これらのほか多くの要素が14世紀から15世紀前半にかけて流行したいろいろな様式のなかに見られる。例えば、おそらく14世紀前期頃に描かれたシャル寺の壁画の衣服や装飾の豊富なヴァリエーションのなかに見られるし、15世紀第2四半期頃に描かれたギャンツエのクンブム寺の壁画ではさらに細かく念人りに描かれている。
薬師如来の周囲には、以下のように諸尊が配置されている。最上段には、四臂観音を中心に、7人の薬師と右端に文殊がいる。その下には左右に8人ずつ16人のインドの伝統的な医術の名人がいる。その下は左右に2人ずつ4人の小さな尊格がおり、おそらく左から観音、白ターラー、文殊、金剛手である。さらにその下には、左右に5人ずつそれぞれ乗り物に乗った10人の護法尊。薬師如来の台座のすぐ下の2段には、それぞれマングースを抱えた薬師如来の眷属である12人の夜叉。最下辺の両端には、2人ずつの四天王。薬師如来の台座に掛けられた布の前にはパドマサンバヴァがいるが、彼は、後の世に発見されるべき宝の教えとして医学書を埋蔵し、チベットに医学書が普及するのに重要な役割を演じたという徳行によって、おそらく薬師如来に結び付けられたのであろう。出所:天空の秘宝チベット密教美術展 2009.09.19更新
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